猫と暮らしていると、ある日突然、おしりをこちらに向けて座り込んだり、「もっとやって」と言わんばかりにおしりを突き出してくることがありますよね。
そのしぐさに応えるように、軽くぺんぺん(あるいはトントン)してあげると、うっとりした表情で喉を鳴らしたり、しっぽをピコピコと揺らしたり。まるで「そこ、もっと!」と訴えているようなその姿に、こちらまで癒されます。
でも、ちょっと不思議ではありませんか?
なぜ猫はおしりを向けてぺんぺんされるのが好きなのでしょうか?
今回は、そんな猫たちの「おしりぺんぺん愛」の裏側に迫ります。

猫にとって「おしり」は特別な場所
まず知っておきたいのが、猫にとっておしりのあたり(特に背中からしっぽの付け根)は、非常に敏感で感じやすい部分であるということです。
この部分には「尾根神経叢(びこんしんけいそう)」と呼ばれる神経が集まっており、軽く刺激されることで、リラックスや快感を感じる猫が多いと言われています。
背中をなでていって、しっぽの根元をぺんぺんすると、突然しっぽがピン!と立ったり、おしりが持ち上がる…そんな反応を見せたことはありませんか?
これは、刺激に対して反射的に反応しているだけではなく、「気持ちいい」と感じている可能性が高いのです。
「ぺんぺん大好き猫」の特徴とは?
すべての猫がぺんぺん好きというわけではありませんが、以下のような傾向を持つ猫は特にぺんぺんにハマりやすいようです。
- 甘えん坊タイプ
- 人とスキンシップをとるのが好き
- おしりまわりを触られても嫌がらない
- 避妊・去勢済みの猫(発情による誤解も少ない)
また、子猫時代に人の手でよく遊ばれていた子や、保護猫として人に慣れている子は、比較的ぺんぺんを好む傾向にあります。
うっとり顔をしながら「もっとして」と何度も振り返る姿は、まさに“ぺんぺん中毒”と言っても過言ではありません。
猫がおしりを向ける行動の心理とは?
猫が自らおしりをこちらに向けて座るとき、そこにはいくつかの意味があります。

1. 信頼の証
野生では、背後を見せるのは非常に無防備な行為。
それをわざわざあなたに見せているということは、「あなたのことを信頼しているよ」というサインでもあるのです。
2. 撫でてアピール
単に「ぺんぺんして!」という意思表示の場合もあります。
しっぽをゆっくり左右に揺らしながらおしりを向けてくるのは、触れてほしい合図かもしれません。
3. マーキングの一環?
おしりには臭腺があり、軽く触れることで「自分の匂いをつける」マーキング行動の延長線上にあるとも言われています。
これは飼い主への愛情の裏返しでもあります。
ぺんぺんタイムの“正解”とは?
ぺんぺんは、猫にとってのマッサージやスキンシップ。
でも、ちょっとしたやり方の違いで「ご機嫌タイム」が「イラッ」とタイムに変わることも。
以下のポイントを押さえて、ぺんぺんタイムを楽しみましょう。
● 力加減は「やや弱め」で
ぺんぺんと言っても、強すぎは厳禁。
「軽くポンポン」「タップ程度」がおすすめです。
嫌がったり、耳を伏せたり、しっぽをブンッと振ったらすぐにやめるのが鉄則です。
● リズムが大事
テンポよく、一定のリズムでぺんぺんすることで、安心感を与えられます。
不規則なリズムだと猫が落ち着かなくなる場合もあります。
● 気分が乗っているときだけに
猫にも「気分」があります。
無理にぺんぺんすると怒られることも。
自分からおしりを差し出してきたときがベストタイミングです。

注意すべき点:猫によっては苦手な子もいる
ぺんぺんが好きな猫がいる一方で、全く好まない猫もいます。
特に以下のような場合は注意しましょう。
- 腰痛や関節痛がある
- 過去にトラウマがある
- 過度な触れ合いが苦手な性格
無理にぺんぺんすることは、信頼関係を壊すきっかけになりかねません。
猫の表情やボディランゲージをしっかり観察することが何より大切です。
飼い主として大切にしたいこと
おしりを向けてくる猫は、ある意味、あなたとの信頼関係の証を行動で示してくれている存在。
そのサインをきちんと受け止め、猫が「心地よい」と感じるぺんぺんタイムを提供できるよう心がけたいですね。
ぺんぺんが好きな子なら、日々のスキンシップに取り入れることで、さらに絆が深まるかもしれません。
「おしりぺんぺん、今日もお願いしますにゃ」
そんな無言のメッセージを見逃さずに、猫との時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。