猫の魅力は、その仕草やポーズにも表れます。中でも、「香箱座り(こうばこずわり)」と呼ばれる姿勢は、猫好きなら一度は見たことがあるはず。まるで足が見えないように体の下にすっぽりとしまい込んだあのポーズは、見た目にもかわいらしく、癒し効果抜群です。
しかし、この香箱座りには単なる“かわいい”を超えた、猫の感情や健康状態が反映されていることをご存じでしょうか?
本記事では、香箱座りが意味する猫の気持ちやそのバリエーション、注意すべきポイントなどを詳しく解説します。飼い主さんにとって、猫との関係をより深く理解するヒントが詰まった内容となっています。
香箱座りってどんな座り方?

香箱座りとは、前足を胸の下に折りたたみ、後ろ足も体の下に収納して、まるで「四角い箱」に見えるような猫の座り方です。上から見ると香箱(香を入れる蓋付きの箱)に似ていることからこの名前が付きました。
ポイントは以下の3つ:
- 前足が外に出ておらず、見えないほどに体の下にしまわれている
- 後ろ足も同様に折りたたまれ、体全体で安定して座っている
- しっぽは体の横や下にくるっと巻きつけていることが多い
この姿勢はリラックスしているように見えますが、実は猫が「ある程度の警戒を解いた状態」でないと見られないポーズなのです。
香箱座りが示す猫の心理状態とは?
香箱座りは、猫が安心している証拠とも言われます。ただし、その“安心”には段階があります。
安心・信頼の証
まず第一に、香箱座りは猫がリラックスしている状態を表しています。完全に無防備というわけではありませんが、警戒を解き、周囲をそれほど警戒していない証です。飼い主さんのそばで香箱座りをしているなら、それはあなたへの信頼のサインかもしれません。
半分眠い・うとうと状態
香箱座りをして目を細めている時、猫は「うとうと」と浅い眠りに入っていることがあります。これはレム睡眠のような浅い睡眠状態で、体を起こしたまま眠る猫特有の姿です。
緊張感はゼロではない
ただし、完全に無防備ではないため、警戒心をゼロにした状態ではありません。例えば、香箱座りからでもすぐに立ち上がれるような構えをしている場合もあります。

香箱座りをする猫、しない猫
香箱座りをよくする猫もいれば、あまりしない猫もいます。個体差があるため、香箱座りをしないからといって心配する必要はありません。とはいえ、そこにはいくつかの要因が考えられます。
体格や骨格の違い
短足猫や胴が長めの猫は、香箱座りがしにくい傾向があります。特にマンチカンやミヌエットなどは、足を体の下に折りたたむのが難しい体型であることもあります。
年齢や関節の問題
シニア猫や、関節に違和感がある猫は香箱座りを避けることがあります。もし以前はよくしていたのに、最近は見なくなったという場合は、健康状態に注意しましょう。
香箱座りのバリエーションと意味

香箱座りにもいくつかのバリエーションがあります。それぞれに猫の気持ちが現れているかもしれません。
完全な香箱
足も尻尾もすべて見えず、まさに箱のように整った姿勢。これは最も安心している状態と考えられます。
片足だけ出ている香箱
片足だけちょこんと出ている香箱座りは、リラックスしきっていないけれど、安心感はあるというサインです。
顔を前足にうずめる香箱
この姿勢は眠りに入りかけている状態。深いリラックスを感じている証です。
香箱座りを見せてくれたときの接し方
猫が香箱座りをしているときは、できるだけそっとしておくのが基本です。無理に触ろうとせず、静かに見守ることで猫の信頼を保てます。
ただし、カメラを手に取りたくなる気持ちもわかりますよね。もし写真を撮る場合は、フラッシュを使わず、音も控えめにして静かにシャッターを切るのがおすすめです。

香箱座りが見られないときに気をつけたいこと
「うちの子、香箱座りをまったくしないな……」と思う飼い主さんへ。香箱座りが見られない場合、以下のような可能性も考えておくとよいでしょう。
- 環境にまだなじめていない(警戒中)
- 室温が低すぎて丸まり姿勢のほうが快適
- 足や腰に痛みがある可能性
香箱座りは心と体の余裕があるときにだけ見せる姿です。見られない理由が環境や健康に関係していないか、やさしく観察してみてください。
おわりに:香箱座りは猫からの小さなメッセージ
香箱座りは、猫が発する“大丈夫だよ”という無言のサイン。
その姿を見るだけで、こちらまで安心した気持ちになりますよね。
香箱座りは信頼とリラックスの象徴であり、猫との距離が縮まっている証拠です。
あなたのそばで香箱座りをしてくれるその瞬間を、大切に味わってください。