猫のあくびって、なんだか見ているだけでこっちまで眠くなってしまうくらい、のんびりとした雰囲気をまとっていますよね。
でも、猫があくびをする理由って、「眠いから」だけではないこと、ご存知でしょうか?
ふわ〜っと口を大きく開けるその仕草には、猫の心の中がちょっぴり見えるヒントが隠れているんです。
今回はそんな「猫のあくび」の奥にある、さまざまな意味やシチュエーション、そして私たち飼い主にできることについて、やさしく解き明かしていきましょう。

あくびは眠気のサインだけじゃない
「猫があくびをしている=眠い」というイメージ、たしかに間違いではありません。
でも、それはほんの一部の理由にすぎないのです。
実は、猫のあくびには次のようなさまざまな意味があるとされています。
- リラックスしている証拠
- 緊張をほぐしたいとき
- ちょっとした気分転換
- 周囲の空気を和ませたいとき
- ストレスや葛藤の表れ
これらのどれに当てはまるかは、猫の置かれている状況や、あくびの“前後の行動”によって読み解くことができます。
シーン別でわかる、猫のあくびの“本当の意味”
● 日向ぼっこしながらのあくびは「心地よさ」のサイン
お昼の陽だまりでゴロンと寝転がりながらあくびをする姿は、見ているだけで幸せな気分になりますよね。
これはまさに、安心しきっている証拠。猫がリラックスしていて、居心地のよい環境にいるときに出るあくびです。
こういうときのあくびは、深く息を吐き出すような穏やかさがあり、見守る私たちもつい笑顔に。

● ケンカや緊張のあとに出るあくびは「葛藤」のサイン
意外かもしれませんが、緊張したあとにするあくびもあります。
たとえば他の猫とちょっとしたにらみ合いになったあと、突然あくびをすることがあります。
これは「転位行動」と呼ばれ、気持ちの整理をつけようとしているときに出るしぐさです。
本当はちょっとイライラしていたり、怖さを感じていたりするけれど、それを表には出さずにあくびでごまかしているような感じですね。
猫って、案外繊細な感情表現の達人なのかもしれません。
● 飼い主さんの前でのあくびは「信頼」のサイン
あなたが近くにいるときに、猫が大きくあくびをしているとしたら、それはとても嬉しいサインです。
なぜならそれは、「ここは安心できる場所」と猫が感じている証拠だからです。
捕食動物である猫にとって、無防備に口を開ける行為は本来とてもリスクがあるもの。
それでも目の前であくびをするのは、心を許してくれている証でもあります。
猫がよくあくびをするのは健康な証拠?

「最近、うちの子あくびばっかりしてるなあ」と思ったとき、
気になってしまうのが病気との関係ですよね。
基本的に、猫のあくびは自然な生理現象であり、よく見られるものです。
しかし、以下のような場合には少し注意が必要です。
- あくびと一緒に口を気にしている
- あくび中に口が閉じにくそう
- 異常にあくびの回数が多すぎる
- よだれが出ている
- 呼吸が荒い・苦しそう
こうした場合は、口内炎や歯周病、呼吸器系のトラブルの可能性もあるため、早めに獣医さんに相談することをおすすめします。
飼い主ができることは?
● 観察を“いつも通り”に
あくびは猫の感情を読み解くひとつのヒントですが、それだけで判断せず、
前後の行動や表情、環境全体を見てあげることが大切です。
たとえば、
- ケンカのあとすぐあくび→「緊張のクールダウン中かも?」
- 遊んだあとにのびをしながらあくび→「気持ちよく運動できたサインかな?」
といったように、“文脈”ごとに読み取っていくのがポイントです。
● ストレスサインの見逃し防止にも
頻繁なあくびが続くときや、環境の変化があったあとにあくびが増えたときは、
「ちょっと落ち着かないな…」という気持ちが背景にあるかもしれません。
そんなときこそ、安心できる場所を整えてあげることが、飼い主にできる大切なケアになります。
- 静かな寝床の確保
- 安心できる匂いのあるブランケット
- 無理に構わず、そっとしておく時間をつくる
こういった小さな気づかいが、猫のストレスを和らげ、心地よく過ごす手助けになります。
あくびが教えてくれる、猫の“心の余白”

猫のあくびは、ただの眠気ではなく、いまこの瞬間の気持ちや、環境へのフィーリングを伝えてくれている大切なサインです。
ふとしたタイミングで見せるあくびに、
「あぁ、安心してるんだな」
「今ちょっとがんばってるのかも」
そんなふうに感じられるようになると、猫との距離がもう一歩、心の中で近づいていく気がしませんか?
そして、あくびを見たときは、
「今日もいい一日だったね」
そんな風に、静かに語りかけてみてください。
猫はきっと、ふにゃっとしたまなざしで、あなたに優しくこたえてくれるはずです。