夏の名残がそっと消えていくころ、私たち人間が感じる“涼しさ”や“空気の変化”は、猫たちの暮らしにも影響を与えます。
まだ暑さが残る日中、けれど朝晩は少し肌寒い——そんな季節の境目には、ちょっとした「気づき」と「ひと工夫」が、猫にとっての快適さを大きく左右します。
今回は、「エアコンを切るタイミングって?」「窓、開けてもいいのかな?」など、夏から秋へと向かう時期に知っておきたい“猫の快適空間のつくり方”をご紹介します。
室温よりも“空気感”を感じる猫たち
猫はとても敏感な生き物です。
人間が「まだ暑いな」と思っている時でも、猫は風の通り方や湿度の変化にいち早く気づいています。
特に秋口は、空気が乾燥してきたり、朝晩だけ冷えたりと、日によって環境が変わりやすい時期。そのため、飼い主さんが気づかないうちに、猫が「ちょっと居心地悪いかも…」と感じていることも。
だからこそ、この時期は「暑い/寒い」ではなく、猫がどう“過ごしているか”をよく観察することが大切です。

猫にとっての“秋時間”を整えるコツ
1. エアコンは「朝晩だけオフ」から始めてみる
残暑が残る時期は、日中だけエアコンをつけておくほうが安心です。
ただし、朝晩の涼しさに合わせてオフにする時間を少しずつ延ばしてみましょう。
冷えすぎていると感じたら、風量や設定温度を上げる前に「運転モードを見直す」のもおすすめ。除湿だけでもじゅうぶん快適な日もあります。
ポイント:
エアコンを切るときは、急に全停止ではなく「徐々に」切り替えること。猫も慣れる時間が必要です。
2. 窓を開けるなら「安全」と「空気の質」に配慮を
秋の風は猫にとっても気持ちいいもの。
ただし、窓を開けるときは「脱走防止」と「空気の質」に注意しましょう。
- 網戸ストッパーをつけてロック
- ベランダの鉢植えや落ち葉のチェック
- 道路側ではなく静かな場所の窓を開ける
また、風が強すぎたり、外からの匂いや騒音がストレスになっていないかも見逃せません。
猫がじっと外を見つめながら耳をピクピクさせている時間は、脳にも良い刺激になります。

3. 寝場所の“微調整”で体調管理をサポート
涼しくなってくると、猫は「日向ぼっこスペース」や「ふかふかの寝床」を探し始めます。
夏に人気だったフローリングの上や冷感マットは、もう出番が減ってくるかもしれません。
秋に向けて、こんな寝場所の準備がおすすめです:
- 窓際に毛布やクッションを設置して日向ぼっこゾーンに
- 床より少し高い位置にベッドを置いて冷気を避ける
- 複数の素材を組み合わせて、猫自身が心地よい場所を選べるようにする
4. 湿度チェックも忘れずに
秋は乾燥がはじまる季節でもあります。
特に、換毛期と重なると、静電気や毛づくろいのしすぎによる嘔吐が起きることも。
快適な湿度は50〜60%前後。加湿器をつけるほどでなくても、洗濯物を部屋干ししたり、お湯を沸かすなどの工夫でしのげることもあります。
5. ごはんと水の“場所”を見直すチャンス
意外と見落としがちなのが、ごはんや水を置いている場所の温度と湿度。
直射日光が当たるところ、冷房の風が直撃するところなどに置いていませんか?
「猫が最近お水を飲まないな」と感じたら、場所や器の見直しで改善するケースも多いです。
秋は体調を崩しやすい時期でもあるので、水分補給の環境を整えておくと安心です。
季節の変わり目は、猫と“対話する”時間

猫はしゃべりませんが、姿勢・しぐさ・居場所の変化でいろんなことを伝えてくれています。
「最近はこのクッションにばかりいるな」
「風が入るとごきげんな表情をしてる」
「エアコンを切ると別の部屋に移動する」
——そんな変化を受け止めて、少しずつ暮らしを“秋仕様”にしていくこと。
それが、猫との信頼関係を深める何よりの近道です。
おわりに:猫と秋風を感じる午後
少し開けた窓からそよぐ風に、猫のヒゲがふわりと揺れる。
それだけで、なんだか「秋がきたな」と思わせてくれるものです。
猫が安心して、心地よく、そしてのびのびと過ごせる秋の空間づくり。
ほんの少しの工夫が、きっとふたりの時間をより豊かにしてくれるはずです。