猫と暮らしていると、ごはんを食べ終わったあとに「お皿のまわりをカリカリ」とかいたり、まるで砂をかけるような動作をすること、ありませんか?
「これって、何か気に入らなかったのかな?」「まさか、まずかった…?」
そんなふうに感じて、ちょっぴり不安になる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
でもご安心ください。
この“砂かけポーズ”には、ちゃんと猫なりの理由と本能が隠れているんです。
今回はそんな不思議なしぐさの背景にある、猫たちの深い思考や本能、そして私たち飼い主が気をつけたいポイントまで、たっぷりとご紹介します。
猫が「砂をかけるようなしぐさ」をするのはなぜ?
まず大前提として、この動作は本当に砂をかけようとしているわけではありません。
けれど、動作としては“砂かけ”に見えるため、多くの飼い主さんが「不満のサイン?」「怒ってる?」と受け取ってしまうことも。
では実際にはどんな意味があるのでしょうか?
本能の名残:食べ物を“隠す”という行動
猫はもともと単独で狩りをする生き物です。
野生の猫は、食べきれなかった獲物をそのままにしておくと、他の動物に見つかってしまう危険があります。
また、腐敗した匂いが天敵を呼び寄せるリスクもあるため、
「食べ残しは土や葉っぱで隠しておく」
という行動をとることがあるのです。
これが、現代の室内飼い猫にも“本能として”残っているのだと考えられています。
つまり、「おいしかったけど、もうお腹いっぱいだにゃ」「後で食べるかもしれないから、ちょっと隠しておこう」という気持ちの表れ。
決して「まずかった」わけでも、「気に入らなかった」わけでもないというのは、ちょっと安心ですよね。

まさかのトイレの名残り?に見えるその動作
“砂かけ”と聞くと、多くの方が連想するのはトイレで排泄後にする「砂をかけるしぐさ」かもしれません。
実際、ごはん皿のまわりをかく姿はそれにそっくり。
でも、トイレ行動と混同する必要はありません。
猫にとって「かく」という動作は、あらゆる意味を持つ万能動作なのです。
- トイレのあとは“匂いを消す”ために砂をかける
- ごはんのあとは“食べ物を隠す”ために床をかく
- 気に入った寝床にも、前足でフミフミやカキカキする
これらすべてが、猫にとっての「テリトリー管理」の一環とも言われています。
意外と知らない?猫の“床かき”行動のバリエーション
猫が「ごはんを隠すようにする行動」には、いくつかのパターンがあります。
そのバリエーションを知っておくと、より猫の気持ちに寄り添えるかもしれません。
パターン①:ごはんの途中でかき始める
これはやや珍しいタイプ。
「このごはん、今は気分じゃない」という意思表示である可能性があります。
特に、新しいフードに切り替えたばかりのときや、香りが強すぎる場合に見られることも。
パターン②:満腹後に“かけておこう”スタイル
もっとも多いのがこのタイプ。
「もうお腹いっぱい。でも大切なごはんだから、あとで食べるかもしれないにゃ」という、野生の記憶の名残りと考えられます。
床や壁をかくことで、ごはんを“土の中に隠した”つもりになっているのですね。
パターン③:空のお皿に対してもかく
食べ終わっても名残惜しさからか、「もっとほしかったにゃ…」とカリカリする子も。
この場合は、「まだ食べたい」のサインとして出ていることもあるため、ごはんの量が適切か見直すきっかけにもなります。

床をかくときに注意したいこと
可愛らしいしぐさとはいえ、毎回やられると少し困ることもありますよね。
とくに気になるのは次のような場面です。
● 壁や家具に傷がつく
猫が本気で床や壁をカリカリし始めると、壁紙がめくれたり、家具にキズがついたりすることも。
そんなときは、食事場所の近くに「マット」や「トレイ」などの保護材を敷いておくのがオススメです。
● 食器の素材によって反応が変わることも
ステンレス製やガラス製のお皿は、猫によっては「匂いが残りやすい」と感じてしまうことがあります。
その結果、匂いを消そうと“かく”動作につながることも。
陶器製のお皿に変えるだけで、砂かけしぐさが減るケースもあるため、一度試してみる価値はあります。
潜在ニーズに応える:猫の行動を「否定」しないことの大切さ
多くの飼い主さんは、この“砂かけポーズ”に驚いたり、不安になったりします。
でも、そこにあるのは猫なりの自己管理の姿だったり、小さな不満のサインだったりすることも。
大切なのは、そのしぐさ理由を考えてあげること。
猫の本能を受け入れつつ、環境や与えるごはんの内容を見直すことで、より快適な共生が実現できるはずです。
まとめ:そのしぐさ、愛情のかたちかも?
猫の“砂かけしぐさ”は、
「いらない」ではなく「大事にしておく」という気持ちの表れだったり、
「もっとこうしてほしい」という繊細なサインであることも。
ついつい人間の視点で解釈しがちですが、そこには猫ならではのロジックと愛情が隠れています。
「もういらにゃい!」なんて思っていたそのしぐさ、
もしかしたら、「あとで食べるから取っといてにゃ」の意味かもしれません。
今日もあなたの猫さんがカリカリと床をかいていたら、
ぜひ優しく見守ってあげてくださいね。