1日16時間以上も眠る、その不思議なライフスタイル
猫がぐっすり眠っている姿を見るたびに、ふと疑問に思ったことはありませんか?
「え、また寝てるの?」「こんなに寝てて大丈夫?」——そんな声を多くの飼い主さんが心の中でつぶやいたことがあるはずです。
猫は1日の大半を睡眠に費やす生きもの。その睡眠時間は平均14〜16時間、多いときには20時間近くになることもあります。
でも、これは「怠けている」のではなく、猫という動物の生態と本能に深く関わっている重要な行動なんです。
この記事では、「なぜ猫はそんなに寝るのか?」という素朴な疑問に、科学的・本能的な観点からじっくり迫っていきます。
眠りの中に隠された猫の本質を、ぜひ一緒にのぞいてみましょう。

猫の平均睡眠時間はどれくらい?
まずは基本的な知識から。
猫の睡眠時間は、成猫で1日14〜16時間程度。これは哺乳類の中でもトップクラスの長さです。
しかも、子猫や高齢猫になるとさらに増えて、18〜20時間も眠ることも珍しくありません。
とはいえ、これには「熟睡」と「うたた寝(浅い眠り)」が混在していることを知っておきましょう。
- レム睡眠(浅い眠り):約75%
- ノンレム睡眠(深い眠り):約25%
つまり、多くの時間は軽い眠りであり、すぐに目覚められる状態。
テレビの音や物音にもピクリと反応する姿を見たことがある人も多いでしょう。これは、狩りのチャンスや外敵への警戒を欠かさない野生の本能の名残です。
なぜそんなに眠るの?3つの理由

1. 狩猟動物としての本能
猫は本来、単独で狩りをする肉食動物。
狩りには瞬発力と集中力、そして大量のエネルギーが必要です。そのため、エネルギーを効率的に蓄えるために睡眠が不可欠だったのです。
野生時代の猫は、「狩る→食べる→寝る」を繰り返す生活をしていました。
この本能は今も家庭の猫に色濃く残っており、「寝てエネルギーを蓄える」ことが生きるための習性として組み込まれています。
2. 昼寝でリズムを整える「夜行性」だから
猫は基本的に夜行性。日中はあまり活動せず、早朝や夕方〜夜にかけて活発になる傾向があります。
そのため、昼間はまるで充電中かのようにスヤスヤとお昼寝。
これも、夜に備えてエネルギーを温存しているというわけです。
「日中にずっと寝てるな」と思っていても、夜になると突然スイッチが入ったように遊び出す——そんな行動にも合点がいきますね。
3. 成長や回復のための「生理的」な睡眠
特に子猫や老猫はたくさん寝る傾向があります。
これは、成長ホルモンや修復機能が睡眠中に活発になるため。
- 子猫:身体の成長に必要なホルモン分泌が活発になる
- 老猫:体力の回復に睡眠が重要
また、ストレスを感じたときや、体調を崩しているときにも、猫はよく寝ることで自己治癒しようとすることがあります。
眠りは、猫にとって「自己防衛」でもあるのです。
睡眠パターンからわかる猫の心と体

猫の眠り方を観察すると、その子の性格や健康状態、安心感の度合いまで見えてきます。
◆ 熟睡モードのサイン
- お腹を見せて寝る
- 仰向けで手足が伸びている
- 触っても起きない
こうした姿勢は、「この場所は完全に安心できる」と感じている証拠。
信頼してくれていることに、ちょっと感動してしまいますよね。
◆ 浅い眠りのサイン
- 耳だけピクピク動く
- 目を閉じながらも体は緊張気味
- すぐに起きる
これは、まだ完全にはリラックスできていないとき。
新しい環境や来客があった日などは、こうした眠りになりがちです。
こんなときは注意!「眠りすぎ」や「眠らなすぎ」
猫はもともと長く眠る動物ですが、異常な眠気や逆に極端な不眠は注意が必要です。
【要注意なケース】
- 突然、起きている時間が極端に減った
- ぐったりして寝たまま動かない
- 逆に、落ち着かずずっと起きている
これらは、体調不良やストレス、あるいは病気のサインである可能性も。
特に、いつもと違う様子が見られるときは、早めに動物病院で相談を。
飼い主にできること:猫が安心して眠れる環境づくり

猫が良質な睡眠をとるためには、静かで落ち着けるスペースを用意することが大切です。
- ふかふかのベッドやブランケット
- 人の目線より高い場所
- 騒がしくない静かな空間
- お気に入りのぬいぐるみや匂いのするもの
猫は「自分のテリトリー」でしか熟睡できない生き物。
だからこそ、「この場所は安心して眠れる」と思わせてあげることが、飼い主の優しさのひとつです。
まとめ:猫の睡眠は「無駄」じゃない、大切な営み
猫がよく寝るのは、サボっているわけでも、暇を持て余しているわけでもありません。
それは、狩猟本能・生理的要求・安心感による自然な行動なのです。
そして、私たち人間にとっては「寝てばかり」に見えるその時間も、猫にとっては明日を元気に過ごすための、大事なルーティン。
愛猫が安心して眠っている姿を見たら、「今日もこの子の心と体が健やかである証なんだな」と、ちょっと微笑んでしまいたくなりますよね。
— 眠る猫は、幸せな猫。
そう思えば、静かに寝息をたてるその姿が、ますますいとおしく見えてくるはずです。