猫が前足を交互に動かす“ふみふみ”とは?
猫と暮らしていると、ふとしたときに前足で柔らかいものをリズミカルに押す行動を目にすることがあります。この行動、通称「ふみふみ」。猫好きの間ではおなじみの、癒しのしぐさのひとつです。
まるでパン生地でもこねているかのようなその姿に、思わず見とれてしまうという方も多いのではないでしょうか。
ですがこの“ふみふみ”、実はただのかわいい仕草ではありません。そこには、猫ならではの本能や感情が隠されているのです。
赤ちゃん時代の名残?ふみふみの本能的ルーツ

“ふみふみ”のルーツは、子猫のころの授乳行動にあるといわれています。
母猫のおっぱいを飲む際、乳腺の刺激のために前足でふみふみと押していたことを、成猫になっても続けているのです。
このことから、ふみふみは「甘えたい」「安心している」気持ちの表れとされています。つまり、飼い主さんの膝の上や毛布の上でふみふみしている猫は、「ここはママのように落ち着く場所」と感じているということ。
猫があなたのそばでふみふみを始めたら、それは信頼の証。
「大好きだよ」「もっと甘えたいな」という無言のメッセージなのです。
なぜ今?場所やタイミングに注目!
ふみふみはいつでもどこでもするわけではなく、猫がリラックスしているときに出やすい行動です。
よくあるシチュエーションは以下の通りです:
- 飼い主の膝の上やお腹の上
- お気に入りのふわふわ毛布やクッション
- 夜寝る前や、ごはんを食べた後の落ち着いた時間帯
- 日向ぼっこ中のまどろみタイム
これらに共通するのは、「安心していて、心がほぐれている時間帯」であること。
ふみふみは猫にとっての心のスイッチのようなもの。
心を許しているからこそ見せる行動だと考えると、愛しさも倍増しますよね。
無意識に宙を踏む?“エアふみふみ”とは
実は近年、SNSなどでも話題になっているのが、「エアふみふみ」と呼ばれる仕草です。
これは、猫が空中で足をふみふみするような動作を見せるもの。実際には毛布も人の膝もない状態なのに、目を閉じて空中でモミモミと動かす様子が観察されます。
この“エアふみふみ”も、基本的には通常のふみふみと同じく、リラックスや甘えのサインだと考えられています。とくに夢を見ているときや、眠気でぼーっとしているときに出ることが多いのが特徴です。
中には、空中でふみふみ→口をちゅぱちゅぱ動かすというセットの動作をする子もおり、まるで母猫と再会している夢を見ているかのよう。
「エアふみふみしてる!」と気づいたら、それは猫の心が穏やかで満たされている瞬間。そっと見守ってあげましょう。
やめさせるべき?ふみふみを見たときの正しい対応

ふみふみは自然な行動なので、基本的には無理にやめさせる必要はありません。
しかし、以下のようなケースでは少し注意が必要です:
- 爪が伸びていて、飼い主の服や肌を傷つけてしまう
- ふみふみの対象が限定的で、執着が強すぎる場合(例:ぬいぐるみに吸い付き続ける)
- あまりにも頻繁で、生活に支障をきたしているような場合
このような場合は、ふみふみ用の専用毛布やタオルを用意してあげるのもひとつの手です。また、ストレスや退屈が原因でふみふみが過剰になるケースもあるので、運動や遊びの時間を増やしてみるのもおすすめです。
オス・メスで違いはある?
性別によってふみふみ行動に差があるかというと、実際には個体差のほうが大きいです。
ただし、去勢・避妊前のオス猫に多く見られる“マウンティングふみふみ”という行動も存在します。これは性的な興奮と結びついたふみふみであり、通常のリラックスとは別の意味合いを持つことがあります。
この場合、発情期の影響や、マーキング行動と関連していることもあるため、気になる場合は獣医師に相談しましょう。
飼い主としてできること

ふみふみは猫からの“愛情表現”のひとつです。
とくに、保護猫や幼いころに母猫と離れた猫ほど、成猫になってもふみふみを続ける傾向があるといわれています。
もしあなたの猫が毎日のようにふみふみをしていたら、それは「あなたのそばが安心できる場所」であることの証です。
ふみふみする姿を見ながら、思わず笑みがこぼれてしまう。
そんな穏やかな時間を重ねられるよう、猫にとっての“心の拠り所”を整えるのが、飼い主にできるやさしさです。
まとめ:ふみふみは猫からの“ありがとう”かもしれない
ふみふみには、本能・感情・安心・甘えといった、猫のさまざまな思いが込められています。
そして“エアふみふみ”もまた、その延長線上にある心のリラックスの証。
猫がふみふみするたびに、「この子は今、しあわせなんだ」と思えるようになると、人と猫の絆はさらに深まっていくでしょう。
あなたのそばでふみふみを繰り返す猫がいるなら、それは何よりの信頼と愛情のあかしです。