先日、もふねこスタッフはローマにある、古代ローマ時代の遺跡「トッレ・アルジェンティーナ広場」に沢山の猫達が住んでいて『猫コロニーと化している』という情報を元に、現地取材に行って参りました。
トッレ・アルジェンティーナ広場ってどこにあるの?
トッレ・アルジェンティーナ広場は、コロッセオ駅から徒歩20分ほど歩いたところにあります。20分と聞くとかなり遠い印象ですが、コロッセオとフォロ・ロマーノ遺跡の観光ついでに、お散歩がてら足を運べる距離なので、それほど遠いと言う印象は受けません。
もふねこスタッフもコロッセオとフォロ・ロマーノ観光も兼ねて行ってみることにしました。
広場で自由猫を見つけてみた
目的地の広場に到着し、早速猫さん探し。目を凝らして見ていると、周りを頑丈な柵に囲まれ、完全に人から守られている遺跡の中に、いくつか動く生き物を発見。
ちなみにイタリアでは、屋外で暮らす猫を野良猫とは言わず「自由猫」と言うそうです。猫達の意志がそこにあるように感じますね。
「いた!」ローマの自由猫発見!!
1、2、3…と最初は何匹いるか自力で数えるつもりでしたが、遺跡の中に人は入ることができないため、隠れてしまっている自由猫たちを見つけるのはとても大変。15匹まで数えたところで諦めました。
猫カフェ?いいえ。噂の猫シェルターを発見!
ひとまず、遺跡のまわりを一周してみることにしました。すると、ちょうど半周ほど行ったところに何やらカフェのようなお店の入り口を発見。そこから人が出てくるので、間違いなくカフェだと初めは思っていたのですが、何やらカワイイ猫さんがお出迎え。
「まさか、猫カフェ?」と思いながら導かれるまま中に入り、ようやくここが噂の猫シェルターだと気づきました。
中にはたくさんの猫たちがくつろいでいた
一歩、踏み入れてみるとそこはまさに猫のための楽園。お腹が空いた時、一休みしたい時、ちょっと涼みたい時、あるいは暖をとりたい時、猫たちはここを拠り所にしているようでした。
遺跡とともに守られている猫コロニーなんて日本では例がないため、そこに隣接したシェルターにはとても興味津々。さらに調べてみると、ローマに猫コロニーは他に3箇所ほどあるそうです。
キョロキョロとしながらシェルターに長居していると、ボランティアスタッフの方が「よかったらこの中にも入ってみる?」と案内してくださった奥の部屋にはさらに多くの猫さん達がいました。
元気そうな猫もいましたが、老猫や虐待されたと見られる猫たちは、この部屋でケアしてもらっているようです。
猫シェルターについて
この猫シェルターの正式名は「トッレ・アルジェンティーナ・キャット・サンクチュアリー(猫の聖地)」と言うのだそうです。初めて足を踏み入れた時、ここがあの有名な猫シェルターだったのか、という驚きもあったのですが、何よりそこで働くボランティアの方が、とても誇りを持って楽しそうに活動をされていたのが一番の驚きで印象的でした。
そんなスタッフの方が、イタリア語と英語でシェルターについて説明をされていました。
この猫シェルターは遺跡に迷い込んだり、ここに捨てられた数百匹の猫を救うため、1993年に2人の女性、リア・デクウェルさんとシルヴィア・ビビアンニさんによって始められたそうです。(残念ながらリアさんは数年前にお亡くなりになったそうです)
活動の中心は、主に去勢・避妊手術と健康管理。そして里親探しだそうで、もふねこスタッフが訪れた2017年5月時点で、このコロニーには140匹の猫が暮らしているというお話でした。
事前に調べた情報だと数百匹いた頃もあったそうなので、20年以上に渡るボランティア活動が功を奏したという事なのでしょうか。
また、このシェルターはローマ市や政府機関からの援助は一切受けておらず、世界中のサポーターに呼びかけ、集められた寄付金でまかなわれているのだとか。
※オフィシャルサイトはこちら
※寄付金についてはこちらから
オリジナルグッズを購入して、守られ続けることを願う
中で売られているグッズもシェルターの運転資金に充てられているということだったので、もふねこスタッフもいくつか購入しました。
なかでもカレンダーはおすすめ。実際にコロニーにいる猫達がモデルになっていて、取材当日はカレンダーの7月を飾ったMr.Julyにも会えました。
※グッズについてはこちらから
実は、このシェルター、2012年頃に遺跡の不法占拠だと言う理由で存続の危機にさらされていたそうです。その後、政治的局面が変わった(具体的には不明ですが)ことでその動きは軽減されたそうですが、完全に安心できる状態というわけではないのだそうです。(参考資料:オフィシャル日本語リーフレットより)
グッズを購入しながら、どうか、このままボランティア活動が続き、遺跡とともに猫達が守られ続けて欲しいと願いました。そして、レポートを書くことで、もっと日本人にもこの場所の活動のことを知って欲しいと思いました。
実は、今回の取材は事前にアポイントを取っていなかったため、現地のボランティアの方にその場で「この場所のことを記事にしても良いでしょうか?」と尋ねるところから始まりました。そして、「もちろん!」と快諾してくださいました。
おそらく彼らも、この場所をもっと知ってもらうことがコロニー存続に繋がると考えているからなのかもしれませんね。
最後に
かつて、エジプトの地でペットとして、そして神の化身として崇められていた猫が、ヨーロッパでペットとして飼われるようになってから随分と経ちますが、かつては黒猫が悪魔として忌み嫌われる時代もあったそうです。そして、黒猫を初めとする猫たちが虐待されることも未だにあるのだとか。
このコロニーのように遺跡とともに守られているのは、猫に対する敬意でもあると感じます。
ちなみに、イタリアは犬・猫の殺処分が法律で禁止されているそうです。
私たちが暮らす日本も、猫島や猫公園など話題になっているいわゆる猫スポットがあり、一方でボランティアの方達を中心に去勢手術が進んでいますが、未だに殺処分はゼロにできない状態です。
トッレ・アルジェンティーナ広場のように、人が立ち入れない遺跡の中で守る方法でなくとも、誰もがこの現状を理解し、協力しあって殺処分ゼロを実現し、猫と共存していける社会を目指せると信じたいですね。