「猫の名前といえば、タマ!」
そんなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。
昔のアニメやドラマ、絵本などにもたびたび登場する「タマ」という名前。「昔の猫はみんなタマだったのかな?」と思ったことがある方もいるかもしれません。
実は、日本では古くから猫に名前をつける文化があり、その時代ごとに人気の名前や名付け方が少しずつ変化してきました。
今回は、昔の人が猫にどんな名前をつけていたのか、その歴史をたどりながら見ていきましょう。
猫に名前をつける文化は昔からあった

猫は奈良時代ごろに中国から伝わったとされ、当初はとても貴重な存在でした。
平安時代には宮中でも猫が飼われており、『枕草子』や『更級日記』などにも猫が登場します。当時は今のように多くの家庭で飼われていたわけではありませんが、すでに愛情を持って接していた様子がうかがえます。
その後、江戸時代になると猫は庶民の暮らしにも広まりました。
蚕(かいこ)や穀物をネズミから守る大切な存在だったため、多くの家庭で可愛がられるようになり、自然と名前をつけて呼ぶことも珍しくなくなっていったのです。
「タマ」は本当に昔からあった名前?
結論からいうと、「タマ」は昔から使われていた猫の名前です。
江戸時代の随筆や記録にも「玉(たま)」という名前が見られ、「宝物のように大切な存在」という意味を込めて名付けられたとも考えられています。
もちろん、すべての猫がタマだったわけではありません。
しかし、親しみやすく呼びやすい名前だったこともあり、長い年月をかけて日本を代表する猫の名前の一つになりました。
そのため、「昔の猫=タマ」というイメージが今でも多くの人に残っているのでしょう。
昔は見た目から名前をつけることが多かった
昔の猫の名前には、とても分かりやすいものがたくさんありました。
例えば…
- クロ
- シロ
- トラ
- ミケ
- ブチ
- ゴマ
このように、毛色や模様をそのまま名前にすることが一般的でした。
現代でも「クロちゃん」や「ミケちゃん」はよく見かけますが、昔はさらにシンプルだったようです。
今のように数多くの猫種がいたわけではなく、日本猫がほとんどだったため、見た目の特徴が名前になりやすかったのかもしれませんね。

性格や体の特徴がそのまま名前になることも
見た目だけではなく、性格や体の特徴から名付けられることもありました。
例えば、
- チビ
- ハヤ
- ノロ
- おてんば
など、その猫らしさをそのまま表したような名前です。
今でも「やんちゃだから『やん』」「食いしん坊だから『まる』」など、性格から名前を考える方は少なくありません。
猫をよく観察し、その子らしさを大切にしていたという点は、昔も今も変わらないのですね。
縁起の良い名前も人気だった
昔の人は、猫を家族であると同時に、暮らしを支える大切な存在として考えていました。
そのため、縁起の良い名前をつけることもあったようです。
例えば、
- フク
- キチ
- タカ
- 宝
こうした名前には、家が栄えますように、福が訪れますようにという願いが込められていました。
招き猫が「福を呼ぶ存在」として親しまれていることを考えると、昔の人が猫に幸運を重ねていたことも納得できますね。

現代の猫の名前はぐっと多彩に
最近の人気ランキングを見ると、猫の名前は大きく変化しています。
例えば、
- むぎ
- きなこ
- モカ
- ルナ
- レオ
- ココ
など、人の名前のようなものや、食べ物、海外風の名前まで実にさまざまです。
SNSの普及によって、「呼びやすさ」だけでなく「かわいらしさ」や「個性」も重視されるようになりました。
一方で、「クロ」「シロ」「ミケ」「タマ」といった昔ながらの名前も、今なお愛され続けています。
流行は変わっても、親しみやすい名前には不思議な魅力がありますね。
名前には、その時代の暮らしが映し出されている
猫の名前を見ていると、その時代の人々の暮らしや価値観が少し見えてきます。
昔は毛色や役割、縁起を大切にした名前が多く、現代では家族の一員として個性を表現する名前が増えました。
でも、どの時代にも共通していることがあります。
それは、「大切だからこそ名前をつける」という気持ちです。
タマでも、クロでも、むぎでも、ルナでも、その名前には飼い主さんの愛情がぎゅっと詰まっています。
もしかすると、今あなたが愛猫につけた名前も、何十年、何百年後には「昔らしい名前」として語られているかもしれません。
そんなことを想像すると、猫の名前の歴史はますます面白く感じられますね。

