猫のおなかに“たぷっ”と垂れた柔らかい部分、見たことはありませんか?
おなかの皮膚が揺れていると「太ったのかな?」なんて思ってしまうかもしれませんが、実はそれ、猫にとってとても大事な“パーツ”なんです。
今回は、その名も「プライモーディアルポーチ(Primordial Pouch)」という、ちょっぴり難しそうな名前を持つおなかのたぷたぷについて、楽しく、そしてしっかり解説していきます!
プライモーディアルポーチってなに?
プライモーディアルポーチは、猫のおなかの後ろ側、後ろ足の付け根あたりにある皮膚と脂肪のたるみのこと。
歩くときや走るときに左右にゆらゆら揺れる様子がとってもチャーミングですよね。
実はこのポーチ、太っている・いないに関係なく、ほとんどの猫が持っている生理的な構造なんです。
🐾 よくある誤解!
「うちの子、ちょっとぽっちゃりしすぎかも…」と思っていたら、実は健康体で、たぷたぷは“仕様”だった!なんてこともよくあります。

なんのためにあるの?3つの役割
では、この謎のたぷたぷはなんのためにあるのでしょう?
実は、ちゃんと理由があるんです!
1. 体を守る“クッション”としての役割
猫は元来、野生で暮らしていたハンター。
獲物との戦いやケンカのとき、おなかは急所になるため、この部分を守るためにプライモーディアルポーチがバリアのような役割を果たしていたと言われています。
たぷたぷして見えるけれど、実は戦闘用のプロテクターだったんですね!
2. 柔軟な動きを助けるストレッチゾーン
猫がジャンプしたり、高速で走ったり、くねくねと体をねじったりできるのは、この“ゆとり”のおかげ。
皮膚にたるみがあることで、体を大きく伸ばしたり縮めたりできるんです。
特に全力疾走時のしなやかな動きは、このポーチが支えているとも言われています。
3. エネルギーを蓄える“予備タンク”
野生の猫はいつでも満腹とは限りません。
このたぷたぷには少量の脂肪が蓄えられており、空腹時のエネルギー源になるという説もあります。
いわば“サバイバル仕様のおなか”ですね。
どんな猫に多い?品種差はあるの?

プライモーディアルポーチの出方には、猫によって個性があります。
中には「これ、別の生き物ついてる?」というほど大きくゆれる子も!
特に目立つことが多い猫種
- ベンガル
→ 野性味あふれる見た目に加え、かなりはっきりとポーチが出ることが多い猫種です。 - エジプシャンマウ
→ プライモーディアルポーチを“戦闘の証”として誇る、最古の猫種とも言われています。 - アビシニアン、オリエンタル系
→ しなやかな体型の猫にも、意外とこのポーチが確認できます。
もちろん、雑種(ミックス)の猫ちゃんにも見られます。
体重や体型にかかわらず、標準装備されていると考えてよいでしょう。
病気や肥満との違いは?
ここで気になるのが、「太っているだけなんじゃないの?」という点。
チェックポイントはここ!
| チェック項目 | 健康なたぷポーチ | 肥満の可能性 |
|---|---|---|
| 揺れる部分が特定の位置にあるか | 後ろ足の付け根あたり | おなか全体がぽってり |
| 骨が触れるか | 肋骨・腰骨が触れる | 脂肪で骨が触れない |
| 動きやジャンプに支障がないか | スムーズ | 鈍くなることがある |
| 体重が適正か | キープ | 増加傾向にある |
たぷたぷ=肥満とは限らないので、気になったら獣医師さんと相談しながら体型チェックしてみてくださいね。
触っても大丈夫?嫌がる子もいる?
「このたぷたぷ、つい触りたくなる…」という飼い主さん、多いはず。
でも、ちょっと待って!
この部分は急所に近いデリケートゾーンでもあります。
- 触っても平気な子
→ ゴロゴロ言って気持ちよさそうにする子もいます。 - 嫌がる子・警戒する子
→ プライモーディアルポーチを触られるのを不快に感じる子も少なくありません。
🐾 無理に触らず、猫ちゃんの反応を見ながらそっと観察するのがベスト!
実は人間にも…?ちょっとした豆知識
猫以外にも、ライオンやトラなどの大型ネコ科動物にもポーチがあるんです。
さらには犬の一部、フェレットなどにも似たような構造が見られることも。
ちなみに人間でいうと、おへその下の“たるみ”も、ある意味似たような構造かもしれませんね(?)
ゆれるたぷたぷは、愛しさの証

プライモーディアルポーチは、猫たちが進化の中で手に入れた知恵の証。
のんびり寝転がってるときにも、全力で走っているときにも、このたぷたぷがしっかり役割を果たしているんです。
もし猫ちゃんのおなかにたるみを見つけたら、それは「健康な証」「自然の仕組み」。
ただの“お肉”ではなく、猫が猫らしくあるための大切な部分なんだと、ちょっと誇らしい気持ちで見つめてみてくださいね。
おわりに
「ゆれるたぷたぷ」には、こんなに深い理由があったんですね。
猫と暮らしていると、つい見逃してしまう小さな体の仕組みにも、ちゃんと意味があって、愛が詰まっていることに気づかされます。
今日もたぷたぷを揺らしながら歩いている、あなたの猫ちゃん。
その後ろ姿に、ちょっとだけ“尊敬”のまなざしを送ってみてはいかがでしょうか。

