猫の肉球って、つい触りたくなる魅力がありますよね。
プニプニした感触に癒されて、「何本あるのかな?」と指を数えたことがある方もいるかもしれません。
でも、その答え……ちょっと意外かもしれませんよ?
今日は、そんな猫の“指”の本数と進化のヒミツについて、やさしく解き明かしていきます。
前足と後ろ足、実は“本数が違う”
まずは答えから。
猫の指の本数は……
- 前足:5本
- 後ろ足:4本
なんと、前足と後ろ足で本数が違うんです!
前足の「親指」のような位置にある指(専門的には「第一趾」)は地面に着かないため、あまり目立たないのですが、しっかり存在しています。
つまり、前足は見た目4本でも、実は5本あるんです。

あの“親指”みたいなやつ、実は重要!
前足の内側にある小さな指……気づいたことはありますか?
それは「狼爪(ろうそう)」と呼ばれるもので、犬にもありますが、猫のそれはもっと器用に動かせるのが特徴です。
この指は、木登りや獲物を押さえ込むときなどに、まるでサムライの刀のような役割を果たしています。
普段は地面に触れないため、摩耗しにくく、爪が伸びやすい部位でもあります。
だからこそ、爪切りで見落とさないよう注意が必要ですね。
なぜ前足は5本、後ろ足は4本なの?
この非対称な構造には、進化の歴史が関係しています。
猫の祖先である哺乳類は、元々前足・後ろ足ともに5本指を持っていました。
ですが、進化の過程で「効率的に歩く・走る・跳ぶ」ことが求められ、後ろ足の第一趾(親指に相当する指)は退化していったと考えられています。
その結果、現在の猫の後ろ足には4本の指だけが残ったのです。
つまり、これは猫がより優れたハンターになるために選んだ身体の形なんですね。

実はまれに“6本指”の猫も!?
さて、ちょっと驚く話をひとつ。
実はまれに、前足に6本指がある猫も存在するんです。
この現象は「多指症(ポリダクティル)」と呼ばれ、特定の遺伝子変異によって起こります。
アメリカでは「ヘミングウェイ・キャット」という呼び名で親しまれており、有名な作家アーネスト・ヘミングウェイが多指症の猫をこよなく愛していたことで知られています。
とくに航海士たちの間では、“幸運をもたらす猫”として大切にされていたとか。
猫の足の使い方は、まるで“忍者”
猫はとても静かに歩きますよね。
実は、あれも指の構造に関係しています。
猫は「趾行性動物(しこうせいどうぶつ)」といって、足裏全体ではなく、指先で歩く動物です。
つまり、指のクッション性を活かして、
- 静かに忍び寄る
- 衝撃を吸収してジャンプ
- 瞬発力を最大化する
といった動きを可能にしているのです。
あの忍び足の秘密は、足元にあったんですね。

【飼い主さん向け】肉球と指、ケアのポイント
猫の指や肉球は、とても繊細で大切な場所。
日常的なケアをしてあげることで、ケガやトラブルを防ぐことができます。
● 爪切りのときは「狼爪」も忘れずに
特に前足の狼爪は、伸びやすく折れやすいのでこまめなチェックを。
● 指の間に異物が挟まっていないかチェック
外に出る猫や長毛種は、小石やゴミが入り込むことがあります。
● 足裏の乾燥やヒビ割れに注意
とくに冬場やエアコンの乾燥で、肉球がガサガサになる猫も。保湿クリームを使うのも◎。
潜在ニーズ:この“足元の構造”を知ることの意味
猫の指の本数や構造を知ることで、日々の観察や健康チェックに役立てることができます。
例えば…
- 爪がどの指から伸びているか分かる
- 歩き方に違和感がないか気づける
- 狼爪を見逃さずにケアできる
など、より深い“猫との暮らし”が可能になるのです。
まとめ:指先に宿る、猫の進化とやさしさ

猫の小さな足。
そこには、何万年もの進化の知恵と、私たち人間にはない“静かに生きる力”が詰まっています。
あなたの猫がそっと差し出したその前足——
指は何本あるのかな?と、今日ちょっと数えてみてはいかがでしょうか。
そこには、知らなかった愛おしさが、またひとつ見えてくるかもしれません。