寒くなる季節や、ストレスを感じたときに愛猫がくしゃみをしたり、目ヤニが増えたりしていませんか?
それ、もしかしたら「猫風邪」かもしれません。
特に夏は、夏バテで体力や免疫力が低下しやすいため、かかりやすくなります。
猫風邪は、特別な病気ではなく、実は多くの猫がかかる可能性のある一般的な感染症です。
人間の風邪のように軽症で済むこともあれば、放っておくと命に関わる重症化につながることもあります。
この記事では、猫風邪の基本的な症状から、家庭でできるケア、そして絶対に見逃してはいけないサインまで、飼い主さんが知っておくべきポイントをわかりやすくご紹介します。
猫風邪とは?その正体と原因
「猫風邪」とは通称で、獣医学的には「猫ウイルス性呼吸器感染症」と呼ばれます。
いくつかのウイルスや細菌によって起こる上部呼吸器系の感染症の総称で、主に以下の原因が関係しています。
- 猫ヘルペスウイルス(FHV):目や鼻の粘膜に強く影響し、結膜炎や鼻水が目立ちます。
- 猫カリシウイルス(FCV):くしゃみや鼻水のほか、口内炎や関節炎を引き起こすことも。
- クラミジア、マイコプラズマなどの細菌感染:二次感染として発症を悪化させることがあります。
感染経路は、くしゃみや鼻水、唾液を通じた飛沫感染や接触感染です。多頭飼いや保護猫を迎え入れた直後などは特に注意が必要です。

主な症状 ― こんな変化に気づいたら要注意!
猫風邪は症状の出方に個体差がありますが、次のような変化が見られたら早めに対処しましょう。
1. くしゃみや鼻水
もっともよく見られる初期症状です。鼻水が透明から粘ついた黄色や緑色になると細菌感染の可能性があります。
2. 目ヤニや涙目
目の周りが汚れていたら要注意。片目だけ涙が出ていることもあります。
3. 食欲の低下
鼻が詰まると匂いがわからずごはんを食べないことも。脱水や低血糖につながるため、注意が必要です。
4. 発熱・元気がない
触ると熱く感じる、寝てばかりいる、動きが鈍いといった普段との違いを見逃さないようにしましょう。
5. 咳や口内炎
カリシウイルス感染時には咳が出たり、舌や口内に潰瘍ができることもあります。
家庭でできる猫風邪ケア

症状が軽い場合や、獣医師の指示で在宅ケアが許可されている場合は、家庭でもできるサポートがあります。
◆ 1. 鼻と目のケア
温かく湿らせたガーゼやコットンで、鼻水や目ヤニをやさしく拭き取りましょう。こまめなお手入れで感染の拡大を防ぎます。
◆ 2. 湿度を上げて呼吸をラクに
乾燥は鼻や喉の粘膜を痛めます。加湿器の使用やお風呂場に一緒に入るスチーム療法なども効果的です。
◆ 3. 食欲を刺激する工夫
香りの強いウェットフードや温めたごはんは嗅覚を刺激し、食欲を引き出します。シリンジでの給餌を勧められるケースもあります。
◆ 4. 温かい寝床の確保
免疫力を保つには体温管理が大切です。あたたかく、静かで安心できる場所を用意してあげてください。
獣医さんに行くべきタイミング
猫風邪は自然治癒することもありますが、次のようなケースではすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
- 鼻水や目ヤニが膿のような色になった
- ごはんを丸1日以上食べていない
- 高熱やぐったりしている様子がある
- 子猫、高齢猫、基礎疾患のある猫が感染した
- 他の猫にうつる可能性がある状況
自己判断で市販の人用薬を与えるのは絶対にNG!
猫の体には人間とは違った反応をする薬もあり、命に関わる副作用を引き起こすこともあります。

再発に注意!風邪をぶり返す猫の特徴
いったん回復したように見えても、体力や免疫力が落ちたときに再発する猫も少なくありません。
特にヘルペスウイルスは体内に潜伏しやすく、生涯持ち続けることもあるため、以下のような子は要注意です。
- 子猫のときに猫風邪にかかったことがある
- 慢性的に涙目や目ヤニが出ている
- ストレスに弱く、環境の変化に敏感
再発を防ぐには、普段からの体調管理とストレスの少ない生活環境が何より大切です。
予防できるの?ワクチンと日常ケア
猫風邪は完全に防ぐことは難しいですが、重症化を防ぐ予防策はあります。
ワクチン接種は基本!
猫風邪の主な原因ウイルス(ヘルペス・カリシ)は三種混合ワクチンに含まれています。
完全室内飼いでも、外から持ち込まれる可能性を考えると、接種は推奨されます。
ストレスの少ない生活を
ストレスは免疫力を下げます。急な引っ越し、来客、騒音などはできるだけ避け、猫のペースを尊重した環境づくりを意識しましょう。
栄養バランスのよい食事
免疫力を高めるには、高品質なフードと十分な水分摂取が基本。手作り食を与える場合は、獣医師と相談して栄養管理を行いましょう。
まとめ:風邪っぽい?と思ったら、早めのケアがカギ!

猫風邪は軽視しがちですが、放っておくと命に関わることもある病気です。
ちょっとした目ヤニや食欲不振にも敏感になり、早めに対処することで回復はぐっと早くなります。
そして何より、飼い主の「気づき」と「寄り添い」が、愛猫にとって最大の治療薬になるかもしれません。
「なんか今日はちょっと変かも?」——
そんなときこそ、小さなSOSを見逃さないやさしさが、猫との信頼関係を深めてくれるはずです。