猫と暮らしていると、ときおり目にする謎の動きがあります。
体をふくらませ、横を向いたまま横歩き――それはまるで、「やんのか!?」とでも言っているような威嚇ポーズ。そう、SNSなどで話題の「やんのかステップ」です。
でも、なぜ猫はそんな動きをするのでしょう?
本気で怒っているの?遊びの一環?
この記事では、猫の「やんのかステップ」に込められた感情や背景を、猫のボディランゲージの視点からわかりやすく解説していきます。
「やんのかステップ」とは?

「やんのかステップ」は正式な動物学用語ではありません。
これは、猫が見せるある特定の行動に対して、SNSなどで名付けられた俗称です。
この動き、見たことある?
- 体を横に向けながら、毛を逆立てて膨らませる
- しっぽも大きく逆立てている
- そのまま横歩きでステップを踏む
- 相手を真正面ではなく、横からにらむような視線
その姿はまるで、「やんのか、こら!」と相手を挑発しているかのようで、人間から見ると非常にコミカルかつ印象的です。
なぜ横向きでステップを踏むの?
この動きの根底にあるのは、「自分を大きく見せたい」という猫の本能的な防御行動です。
動物の世界では、争いを避けることが生存に直結します。無用な戦いを避けるために、猫は威嚇して相手を退かせようとするのです。
自分を大きく見せるのが目的
- 体の側面を見せることで面積を広く見せる
- 被毛を逆立てて、実際よりも巨大に見せる
- 横にステップを踏むことで、俊敏さと余裕をアピール
この一連の行動には、「自分は強い」「本気出せばやばいぞ」という演出が込められています。
つまり、“やんのかステップ”は、戦わずして勝つためのアクションなんです。

威嚇?それとも遊び?
では、「やんのかステップ」はすべて威嚇行動なのでしょうか?
実は一概にそうとは言えません。状況によって意味合いが変わってくるのです。
本気の威嚇の場合
- 初対面の猫同士
- 突然の大きな音や見知らぬ人への反応
- 他の動物に近づかれたとき
この場合は、「これ以上近づいたら攻撃するよ!」という明確な警告。
しっぽを太く逆立て、背中を丸め、うなり声をあげるようなら、猫は強いストレス状態にあります。

遊びの延長として出ることも
一方、子猫同士のじゃれ合いや、飼い主との遊び中にも「やんのかステップ」のような動きが出ることがあります。
- 仰向けになりながらも横歩きをしてみせる
- ふいに“シャーッ”と鳴いて飛び退いたあと、また近づく
これは演技っぽさを含んだ「遊び威嚇」のようなもので、猫自身が楽しんでいる証拠です。
ただし、ヒートアップしてくると本気のケンカモードに切り替わることもあるので、様子をよく観察しましょう。
やんのかステップが出るシーンいろいろ
1. 鏡に映った自分と“対峙”
猫が鏡に映る自分を「別の猫」だと勘違いし、やんのかステップで威嚇するシーンは意外と多いです。
2. 急に現れた物体に反応
掃除機、風で動くカーテン、見慣れない荷物……。
猫は突発的なものに対して強く反応するため、驚いたときにステップが出ることがあります。
3. 子猫同士の遊び
遊びの最中に突然「シャーッ!」と言いながらステップすることがありますが、これは兄弟猫の中での“社会性学習”の一部です。

飼い主としての正しい対応は?
「やんのかステップ」を見たとき、飼い主として気をつけるべきことがあります。
1. 怒っている場合は距離を取る
耳が寝ていて、うなり声や唸り声が出ているなら、本気で怒っているサイン。
すぐに手を出さず、猫が落ち着くまで距離を保ちましょう。
2. 遊びの一環なら、見守ってOK
興奮しているけど、しっぽがまっすぐ立っていたり、目がキラキラしているなら、それは楽しい時間のサイン。
ただし過剰な興奮はトラブルの元になるので、タイミングを見て遊びを終了しましょう。
まとめ:やんのかステップは猫の“知恵”

「やんのかステップ」は、猫が争いを避けつつも自分を守ろうとする高度な知恵の表れです。
一見するとコミカルな行動ですが、その裏には緊張・警戒・遊び心といった複雑な感情が詰まっています。
愛猫がやんのかステップを披露したら、その気持ちに寄り添って観察してみてください。
あなたと猫との距離が、また一歩近づくはずです。