猫と暮らしていると、ふとした瞬間に聞こえてくる「ゴロゴロ…」という音。
まるで小さなエンジンのように響くその音は、癒しのサウンドとして、現代の猫好きさんに大人気です。
でもふと疑問が湧いてきませんか?
「昔の人は、この音をどう思ってたんだろう…?」
今回はこの素朴な疑問を出発点に、“猫のゴロゴロ音”が歴史の中でどのように受け取られてきたのかを探っていきます。
わかっていること、わかっていないこと、どちらも正直に。
もふねこらしく、明るく・やさしく、そして正確にお届けします。
そもそも「ゴロゴロ音」って何?
まずは基本のおさらいから。
猫のゴロゴロ音(purring)は、喉や声帯のまわりの筋肉の振動によって発生する音。
猫がリラックスしているときに出すことが多く、「満足のサイン」として知られています。
でも実はそれだけではなく、
- 体調不良時
- 痛みがあるとき
- 出産のとき
- 飼い主とのスキンシップ中
など、さまざまなシーンで鳴らすことが観察されています。
研究が進む中で、この音には猫自身の回復や鎮静作用を助ける働きがあるのでは?と考えられるようになってきました。
昔の人はゴロゴロ音をどう記録していた?

ここからが本題です。
じつは、「猫のゴロゴロ音そのもの」に関する記録は、意外なほど少ないのです。
古代エジプトの記録はある?
古代エジプトでは、猫は神聖な動物とされていました。
バステト神という猫の女神が信仰され、猫は家庭や収穫の守り手として大切にされていたんです。
しかし…
猫の「鳴き声」や「行動」は壁画や文献に描かれていても、「ゴロゴロ音」について明言しているものは見つかっていません。
つまり、「ゴロゴロ音を神の音と考えていた」などの説は、現代の想像にすぎないのです。
中世ヨーロッパではどうだった?
中世ヨーロッパ、とくに14世紀以降になると、猫は一部で魔女の使いとされ、忌み嫌われる存在になる時代もありました。
ただしここでも、ゴロゴロ音そのものが“悪い音”とされた記録は確認されていません。
この時代に記された資料や迷信の中に、「低いうなり声」や「鳴き声」への言及はありますが、
喉を鳴らすような音に注目した文献は、今のところ見つかっていません。
日本では?
日本では、猫が登場したのは奈良〜平安時代(6〜8世紀ごろ)と言われています。
仏教の経典をネズミから守るため、中国から一緒に船でやってきたというのが定説です。
『源氏物語』や『枕草子』にも猫が登場し、貴族たちに愛されていたことが分かっています。
でもやはりここでも、「ゴロゴロ音」に関する記述は見つかっていません。
つまり、昔の日本人も猫の“ゴロゴロ”を聞いていたはずなのに、それを文章に残すことはなかったようなのです。
じゃあ、なぜ記録されなかったの?
これはとても興味深いポイントです。
現代のように録音や映像がない時代、「音」そのものを残すことはとても難しかったんです。
しかも、猫のゴロゴロ音は非常に控えめで静かな音。
「鳴き声(にゃー)」や「行動」ほど目立たなかったのかもしれません。
さらに当時は、
「猫がどう思っているか」を分析したり研究したりする文化もほとんどありませんでした。
“かわいい存在”として愛されていても、「なぜ音を出しているか?」を深く掘り下げることは、ほとんどされていなかったようです。
ゴロゴロ音が科学的に研究されるのは…なんと20世紀!

実は、ゴロゴロ音の研究が本格的に始まったのは、かなり最近なんです。
1970年代以降、行動学や動物医学の分野でようやく「ゴロゴロ音」のメカニズムや意味が注目されるようになりました。
現在わかってきているのは、たとえば:
- 25〜150Hzの低周波音であること
- 骨の修復や痛みの緩和を助ける可能性があること
- ストレス軽減や安心感に関係すること
こうした発見がされることで、
「猫は人にとっても癒しになる」「セラピー効果がある」といった見方が一般化してきたのです。
まとめ:昔の人たちは“音”ではなく、“存在”に癒されていたのかも
この記事のテーマに対して、はっきり言えることがあります。
「猫のゴロゴロ音をどう受け取っていたか?」は、歴史的な記録としては、ほとんど“わかっていない”のです。
でもそれは決してがっかりなことではありません。
昔の人たちは、ゴロゴロ音に意味をつけるよりも、猫そのものを愛し、そばにいてくれる存在として大切にしていたのかもしれません。
そして今、科学の力によって「ゴロゴロ音の不思議」が少しずつ解明されてきました。
だけど、猫がゴロゴロと喉を鳴らしてくれる理由のすべては、まだ“完全には分かっていない”のです。
それって、ちょっと素敵だと思いませんか?
あなたのそばで「ゴロゴロ…」と聞こえてきたら、
それは何千年も前から続いている“猫と人との静かな対話”なのかもしれません。
今日も、そのやさしい音に耳を澄ませてみてくださいね。

