ああ、またやられた…!猫と暮らす家具の悩み
猫と一緒に暮らす毎日は、癒しや笑顔があふれる宝物のような時間です。
けれど、その一方で、多くの飼い主さんがひそかに悩んでいるのが「ひっかき行動」ではないでしょうか。
ソファやカーテン、柱などがボロボロに…という声もよく耳にします。
でも、それは猫が“悪い子”だからではありません。
猫のひっかきは本能的な行動であり、彼らなりの健康管理やコミュニケーションの一環なのです。
この記事では、猫を叱らずに、家具を守りながら、猫も飼い主も快適に暮らせる“ひっかき対策”の実践法をご紹介します。

猫はなぜ家具をひっかくの?
まずは「なぜひっかくのか?」という猫の気持ちを知ることから始めましょう。
1. 爪とぎで爪のケア
猫は爪が伸びると、古い爪の外皮をはがすために“とぐ”必要があります。
これは健康な猫にとってごく自然な行動で、爪を清潔に保つ手段でもあります。
2. ストレス発散・気分転換
人間がストレッチや背伸びをするように、猫も爪とぎで体を伸ばしたり、気分をリセットしたりします。
特に何かにイライラしていたり、刺激が足りなかったりする場合に、爪とぎが増える傾向があります。
3. 匂いや爪痕で縄張りアピール
爪とぎにはマーキングの役割もあります。
猫の肉球には匂い腺があり、ひっかいた場所に自分の匂いを残すことで安心感を得るのです。
つまり、家具をひっかいてしまうのは「ここが安心できる場所だよ」「わたしのテリトリーだよ」と伝えているサインでもあります。

家具の被害を減らす、5つの実践的なひっかき対策
では、どうすれば猫の本能を大切にしながら、家具を守れるのか?
以下の5つのステップで、猫も人もストレスなく過ごせる環境づくりをしていきましょう。
1. 爪とぎを「置く」ではなく「提案する」
猫がひっかきやすい場所には、爪とぎを意図的に置いておきましょう。
ただ置くだけではなく、
- ソファの角に貼り付ける「コーナー型爪とぎ」
- 壁や柱に取り付けられる「縦型爪とぎ」
- 床に置くタイプや、段ボール製など素材違いのもの
を組み合わせると、猫が好む“とぎ心地”にヒットする確率がぐんと上がります。
2. 「ここでといでほしい」場所に誘導する
爪とぎを置いても使ってくれない…そんな時は、猫が使いたくなる仕掛けを試してみましょう。
- キャットニップ(またたび)を軽くふりかける
- 飼い主のにおいがついた布を近くに置く
- おやつをそっと近くに置いて「良い場所」の印象を持たせる
これらを取り入れることで、家具より魅力的な“とぎ場所”を演出することができます。

3. 家具そのものを保護する
「どうしてもこのソファが狙われる…」という場合は、物理的な保護も効果的です。
- 透明の保護シートや、ペット用のひっかき防止フィルムを貼る
- ひっかき跡が目立ちにくいカバーやブランケットをかける
- そもそもひっかかれにくい素材(合皮など)の家具に見直す
猫にダメ!と叱る前に、“ひっかけない工夫”を環境から取り入れることが大切です。
4. 爪を定期的にカットする
爪を切ると、家具へのダメージはぐんと減ります。
月1〜2回を目安に、先端だけを少しずつカットするようにしましょう。
慣れていない子には、無理せず少しずつ・毎回1本だけでもOKです。
爪切りに慣れさせる工夫や、ご褒美の取り入れ方も大切ですね。
5. ストレスの元を取り除いてあげる
ひっかきがひどくなる背景には、猫のストレスが潜んでいることもあります。
- 生活リズムの変化
- 引っ越しや来客
- 新しい猫やペットの存在
- 運動不足・退屈
猫の環境や気持ちを観察し、ストレスの原因をやさしく取り除くことも、ひっかき対策には欠かせません。
叱らなくて大丈夫。猫にも理由がある

家具をひっかかれたとき、つい「こら!やめて!」と言ってしまいそうになりますが、
猫は“なぜ怒られているのか”を理解できないことがほとんどです。
それよりも、
- 「ひっかきたくなる気持ち」そのものを否定せず
- 「ここならOKだよ」という場所を提案して
- 「そこでといでくれてありがとう」と褒めてあげる
こうしたポジティブな関わり方が、猫との信頼関係を深めながら、家具を守る一番の近道です。
家具も、猫も、大切にできる暮らしを目指して
猫と暮らすということは、家具を“完璧に保つ”ことを少し手放すことでもあります。
でも、そのぶん得られる温もりや愛情は、何ものにも代えがたいものです。
そして実際には、ちょっとした工夫で「家具も猫も守れる」暮らしは十分に可能です。
爪とぎを提案し、家具を守り、猫の本能に寄り添う。
それは、猫にとっても私たちにとっても、心地よく暮らすための大切な一歩になるはずです。