雨音が窓を叩き、風が家を揺らす。
そんな台風の日、猫たちは私たち以上に敏感に異変を感じとっています。
「急に鳴き出した」「家具の下から出てこない」「トイレに行かない」……
それは、怖いよ、どうしようという猫なりのSOSかもしれません。
本記事では、台風の日に猫が感じる不安の理由と、飼い主ができるやさしい対処法をお届けします。
猫と暮らすあなたに、きっと役立つヒントが見つかるはずです。
なぜ猫は台風に不安を感じるの?
猫は本来、とても繊細な生き物です。
私たちが何とも思わないような環境の変化にも、敏感に反応します。
大きな音と振動が苦手
雷の音や風の轟音、建物の揺れは、猫にとってまさに“異常事態”。
とくに台風の日は、以下のような刺激が重なります。
- 強い風でドアや窓がきしむ
- 雷のゴロゴロという低音
- 雨が窓や屋根を打ちつける音
- 停電時の暗闇や機械音の停止
こうした状況は、猫に「何か怖いことが起きている」と感じさせてしまうのです。

台風の日に猫が見せる「不安のサイン」
猫は言葉を話せませんが、行動やしぐさで不安を表現します。
次のような様子が見られたら、そっと寄り添ってあげましょう。
- 狭い場所にずっと隠れている
- いつもより毛づくろいが激しい
- 目を見開いて周囲を警戒している
- 鳴き声が増えたり、急に大きな声を出す
- トイレや食事を我慢している
- 飼い主にべったり甘える、逆にそっけなくなる
猫によって反応はさまざまですが、いつもと違う様子があれば、気づいてあげることが大切です。
飼い主ができる、台風の日の安心ケア
それでは実際に、私たちができる“やさしい配慮”を見ていきましょう。
猫にとって「安心できる居場所」を整えることがキーポイントです。
① 安心できる「隠れ家」を用意する
猫が不安なときに最も求めるのは、安心できる“隠れ場所”です。
以下のような工夫をしてみましょう。
- クローゼットや押入れの扉を開けておく
- キャリーケースの中に毛布を敷いて常備する
- 段ボールの中にタオルを入れて落ち着くスペースに
- ケージにブランケットをかけて“隠れ部屋”を作る
音がこもるような静かな場所が理想的です。
お気に入りのにおいがついた毛布や、飼い主の衣類を入れてあげると、より落ち着きます。

② 騒音・振動対策をしてあげる
猫のストレスの大きな原因は、風の音や雷の響き。
なるべく環境音をやわらげてあげましょう。
- 雨戸やカーテンを閉めて外の音を遮る
- 家の中にBGMを流して「生活音」を保つ
- 揺れを感じにくい場所に寝床を移す(棚の上などの高い場所よりも、床に近い安定した場所が◎)
テレビやラジオ、ヒーリング音楽などをうっすら流すことで、「普段と同じだよ」という雰囲気を演出できます。
③ 飼い主が「いつも通り」にふるまう
猫は飼い主の感情にとても敏感。
人間が慌てたり不安がっていると、それが猫にも伝染してしまいます。
なるべく以下のことを意識してみてください。
- 声のトーンはいつも通り
- ゆっくりとした動作を心がける
- そっと寄り添う(無理に抱っこはしない)
- 名前をやさしく呼んであげる
「あなたがそばにいるから大丈夫」という安心感が、猫にとって何よりのサポートです。
④ 食事・トイレを見守る
台風のとき、猫はストレスから食欲が落ちたり、トイレを我慢してしまうことがあります。
- ごはんや水は落ち着ける場所にそっと置いて
- トイレも人目のつかない静かな場所に移動してもOK
- 食欲がないときは無理をさせず、やさしく声をかけて
ごはんや排泄が1日以上止まるようなときは、念のため翌日に動物病院へ相談しましょう。
⑤ 停電や災害時の備えも見直して
停電になったとき、猫は音や光の変化でさらに混乱することも。
万が一に備えて、こんな準備をしておきましょう。
- 猫用の水・ごはん・トイレ用品をストックしておく
- ポータブル電源やランタンを常備
- キャリーケースの中に避難グッズを入れておく
- マイクロチップや迷子札の装着を確認
「この家にいれば大丈夫」と猫が信じられる環境を、日頃からつくっておくことが大切です。
台風のあとにしてあげたいこと

台風が過ぎ去ったあとも、猫はまだ緊張が残っていることがあります。
以下のようなフォローをしてあげましょう。
- いつもの生活リズムにゆっくり戻す
- スキンシップは猫のペースにあわせて
- おもちゃ遊びで気分転換を促す
- 食欲や排泄など体調のチェックを
猫が落ち着きを取り戻して、ゴロゴロと喉を鳴らすようになれば安心のサインです。
まとめ:そっと寄り添う心が、猫にとっての安心
台風の日は、私たちにとっても不安なものですが、
猫にとっては「どうしていいか分からない恐怖の時間」でもあります。
そんなときこそ、
いつも通りにふるまい、そっとそばにいること。
それだけで、猫の心は少しずつ落ち着いていきます。
大切なのは、“守ってあげたい”という気持ちを、無理なくかたちにすること。
それが、猫との絆を深める一歩になります。
雨風がやんだあと、ふたりで静かに窓の外を眺める時間――
それはきっと、台風の夜を乗り越えた小さな奇跡のような瞬間になるでしょう。