~環境が変わるとき、愛猫の安心を第一に~
新しい住まいへの引っ越し。人間にとってはワクワクする新生活の始まりですが、猫にとっては「ストレスの大イベント」になりがちです。
物音、ニオイ、人の出入り、住環境の変化…猫にとって引っ越しは、安心して暮らしていた「テリトリー」が一気に崩れるようなもの。
この記事では、「猫を最優先に考えた引っ越し準備」について、具体的かつ実践的なアドバイスをご紹介します。
猫と暮らすすべての飼い主さんにとって、新生活を“猫目線”で穏やかにスタートさせるためのヒントが満載です。
猫にとって引っ越しは「テリトリーの喪失」

猫は環境に強く依存する動物です。毎日決まった場所で寝て、決まった経路を通ってトイレに行き、特定の場所で飼い主さんを待つ。
それが突然すべて変わってしまう――それが引っ越し。
環境の変化に敏感な猫ほど、体調を崩したり、食欲が落ちたりすることもあります。
そのため、引っ越しでは「荷物」よりもまず「猫のストレス軽減」を優先すべきなのです。
引っ越し前にやっておくべき猫のための準備
1. 猫の性格に合わせて準備期間を確保する
人見知りで慎重な猫、変化に強い猫…性格はさまざまです。
慎重派の猫なら、2週間前から少しずつ環境変化に慣らしていくのがベスト。
- 引っ越し用の段ボールを部屋に置いて慣れさせる
- ケージやキャリーに短時間入る練習をする
- 掃除や荷造りの音にも少しずつ慣らしておく
「知らないモノ」「知らない音」は、猫にとって不安のもと。
だからこそ、徐々に慣れさせる時間を確保しましょう。
2. 動物病院の情報を事前にリサーチしておく
新居の近くに信頼できる動物病院があるか、引っ越し前にチェックしておくことが大切です。
特に慢性疾患がある猫や、高齢猫と暮らしている場合は、かかりつけ医の紹介状をもらっておくと安心。
- 口コミ評価を確認する
- 駐車場の有無や夜間対応の有無を調べる
- ワクチン接種のタイミングと引っ越し日を調整する
緊急時の備えは、安心材料になります。

3. 当日は“猫の避難場所”を作る
引っ越し当日はとにかくバタバタします。
知らない人の出入り、開いた玄関、ガサゴソした音…。
猫にとってパニック必至です。
そこで大切なのが、「猫だけの安全空間」を作ること。
- できれば前日までに猫を信頼できるペットホテルや知人に預ける
- それが無理なら、静かな一室にケージやお気に入りの寝床を用意し、作業が終わるまで出入り禁止にする
「玄関からの脱走」や「家の中での迷子」は、引っ越しで本当によくあるトラブル。
事前にそのリスクを防ぎましょう。
新居での“猫ファースト”な対応
1. まずは1部屋からスタートさせる
新居に着いたからといって、すぐに全室を開放するのはNGです。
猫が不安になるだけでなく、家具の下や壁の隙間に隠れて出てこなくなることも…。
- 最初は猫の使い慣れたトイレ、ベッド、食器を配置した1部屋で落ち着かせる
- 飼い主がそばにいて、「ここは安心できる場所だよ」と伝える時間を確保する
新しい匂いや音が多い環境では、「少しずつ慣れる」が鉄則です。

2. 引っ越し後すぐにトイレの場所を教える
猫はトイレの場所が変わると混乱します。
そこで、旧居で使っていたトイレをそのまま持ち込むことが重要です。
- 猫砂もあえて少し汚れたままにして、「自分のニオイ」が残るようにする
- トイレの場所は最初に設置した場所からできるだけ動かさない
トイレ環境の安定は、猫の生活リズムを守る第一歩です。
3. 引っ越し直後の「ごはん」は安心の味を
慣れない場所では、猫がごはんを食べなくなることもあります。
だからこそ、いつものフードにこだわりましょう。
- フードは余裕を持ってストックしておく
- 食欲が落ちたときのために、好物やウェットフードも準備しておく
「いつもの味」「いつもの香り」は、猫にとって最大の安心材料です。
猫が落ち着くまでに必要な時間と接し方
猫が新居に慣れるまでの時間は、個体差があります。
早い子なら数日、慎重な子だと数週間かかることも。
その間、飼い主さんができることはただひとつ。
「無理に触らず、そっと見守る」こと。
- 無理に出そうとせず、猫のペースを尊重する
- 名前を優しく呼んで、存在を感じてもらう
- 出てきたときには「安心できるね」と静かに声をかける
引っ越し後の数日間は、絆を深める絶好のタイミングでもあります。

まとめ:猫にとっての“安心”を最優先に
引っ越しは、猫にとって試練のとき。
でも、飼い主さんが「猫優先」で行動すれば、そのストレスを大きく減らすことができます。
- 引っ越し前に「環境変化への慣れ」をサポート
- 当日は「安心できる避難空間」を確保
- 新居では「徐々に慣れること」「いつものルーティンを保つこと」を意識
そしてなによりも大切なのは、猫のペースに寄り添う「やさしさ」です。
それが、新しい場所での幸せな暮らしのスタートになるのです。
猫と一緒の引っ越し、想像以上に気を配ることが多いですが、
だからこそ“猫が安心して過ごせる準備”ができたとき、新生活はもっと愛おしいものになります。
「まずは猫の気持ちを優先して考える」――それが、猫と暮らす私たちにできる最高の心がけです。