子猫のころに食べていたごはんって、大きくなってからの「好き嫌い」に影響するの?
ふとしたきっかけでそんな疑問を持ったこと、ありませんか?
今回は、「子猫期の食事内容と、成猫になってからの嗜好性」について、獣医師やペット栄養学の視点からもとづいたお話をご紹介します。
いまの食の好みには“子猫時代の思い出”が影響しているかもしれませんよ。
猫の“ごはんの記憶”は意外と強い?

猫は「味」よりも「食感」や「におい」でごはんを覚える傾向があります。
そして、子猫の時期に慣れた食感やにおいには、大きくなってからも親しみを持ちやすいことが知られています。
これは「食物の刷り込み」と呼ばれる現象の一種で、人間でいう“おふくろの味”に近いイメージかもしれません。
つまり、初期にどんなごはんを経験したかが、後々の食の好みに影響しやすいということですね。
カリカリ育ち vs ウェット育ち、なにが違う?
市販されているキャットフードには大きく分けて「ドライフード(カリカリ)」と「ウェットフード(缶詰やパウチ)」がありますが、それぞれ特徴が異なります。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ドライフード | 水分量10%以下で固め | 歯ごたえがあり保存しやすい | 香りが少なめ、嗜好性に欠ける場合も |
| ウェットフード | 水分量75〜85%前後 | 香りが強く、やわらかく食べやすい | 傷みやすく、開封後の保存が必要 |
たとえば、子猫時代にウェットフードを主に食べていた子は、香りやジューシーさを好む傾向が見られることがあります。
一方で、カリカリ育ちの子は「ポリポリ食感」や、ドライならではのにおいに安心感を感じることがあるようです。
なぜ子猫期の食経験がそんなに大事なの?
ポイントは「離乳期〜生後半年の間」にあります。
この時期、猫はさまざまな刺激を通して世界を学んでいきます。
ごはんについても、この期間に経験した味・形状・香りが“ふだんのごはん”として記憶に刷り込まれやすいんです。
とくに、以下のような経験はその後の食習慣に影響しやすいといわれています。
- 初めて食べたときの印象(おいしかった/食べにくかった)
- 一緒に過ごした母猫や兄弟猫が食べていたごはん
- 食事中の環境(静か/落ち着かない/怖い音がした)
つまり、「最初の一口」が、その子にとっての“基準”になっていることも珍しくないのです。

でも大人になってからも、好みは変えられるの?
「うちの子、カリカリしか食べないの…」「ウェットしか口にしない…」
そんなお悩みもありますよね。
でもご安心を。猫の嗜好は一生固定されるわけではありません。
たしかに初期の経験が強く影響するとはいえ、ゆっくり時間をかければ新しいごはんに慣れていくことも可能です。
たとえば:
- 少量ずつ新しいフードを混ぜていく
- 食感や温度を変えてみる(常温→ぬるめに温めるなど)
- 一日2〜3回の決まった時間にあげる(だらだら食べを避ける)
これらの工夫で、新しいごはんに対するハードルを下げることができます。
ただし、急な変更はストレスになることもあるため、“少しずつ”が基本です。
好みが違う多頭飼いの場合はどうする?
多頭飼育していると、「この子はウェット派、この子はドライ派…」とバラつきが出ることがあります。
それぞれに合ったスタイルで無理なく与えることが理想ですが、
以下のような工夫で対応しやすくなります。
- タイミングをずらして食べさせる
→ 食べ終わった子から順に、好みのフードを。 - パーテーションや部屋を分ける
→ 他の子のごはんを横取りしにくくなる。 - ドライにウェットをトッピングする
→ どちらも楽しめる“中間型”ごはんを提案!
「この子にはこれ」「あの子にはあれ」と分けるのは手間ですが、一匹一匹の好みに寄り添うことが、健康管理や食事の楽しみにつながります。

好きなごはん=安心できる味
猫にとっての「好きなごはん」は、単に“おいしい”というだけではなく、
安心できる・落ち着ける・自分の居場所を感じられる味でもあります。
とくに子猫期に「このごはん=安全」という記憶ができていると、
成長後もそのフードを選びやすくなる傾向があります。
これは人間にも覚えがあるかもしれません。
幼いころに食べた、あの味。思い出すと、ちょっと心が落ち着く。
猫もきっと、そんなふうに感じているのかもしれませんね。
まとめ:子猫のころの“ごはん記憶”、意外とあなどれない!
- 子猫期の食習慣は、成猫の嗜好に影響を与えることがある
- カリカリ派・ウェット派の違いは「食感・香りの記憶」かも
- 新しいごはんにも、ゆっくり慣らせば受け入れやすい
- 多頭飼いでも、それぞれの好みに合わせた工夫ができる
猫の「好き嫌い」には、ちゃんと理由があることが多いんです。
だからこそ、その背景を知って向き合うことで、より良い食事環境をつくることができます。
今日も、あの子の「おいしいにゃ」の声が聞けますように。
“最初のひとくち”がつなぐ、しあわせなごはん時間をこれからも大切にしていきましょう。

