猫と一緒に暮らしていると、「なんだか急に逃げた!」「ソワソワ落ち着かない…」なんて瞬間、ありますよね。
それ、もしかしたら“音”や“におい”が原因のストレス反応かもしれません。
私たちには気にならない音や香りでも、猫にとってはびっくりするほど不快だったり、体に悪影響を与えることも…。
今回は、日常にひそむ“猫にとって危険な音と香り”について、やさしく詳しくご紹介します。
猫は「音」にとっても敏感な生きもの
猫の聴覚は、なんと人間の4倍以上も高性能。
高音域に強く、小さな音も拾えるので、私たちには聞こえない音が猫の耳にはしっかり届いています。
だからこそ、ちょっとした生活音でも「ストレス」になってしまうことがあるんです。
猫が苦手な“音”ってどんなもの?
1. 掃除機やドライヤーの轟音
家庭内でもっとも猫が怖がる音のひとつが、掃除機の音。
低音と高音が混じった大きな轟音は、猫にとって「突然の地鳴り」に感じるそう。
同様に、ドライヤーやミキサー、ブレンダーなどのモーター音も苦手。
音源から離れた場所に避難できるような安心スペースをつくってあげましょう。

2. チャイム・アラーム音・電話の着信音
「ピンポーン」という来客チャイムや、スマホの着信音なども猫にとっては“警戒すべき音”。
とくにインターホンの音には、「見知らぬ誰かが来る=縄張りの侵入者」と感じて、隠れてしまう子も多いです。
優しいメロディに変える、音量を下げる、などで猫の不安をやわらげる工夫ができます。
3. 大声や怒鳴り声、笑い声
人間の感情がこもった声は、猫にとってはとても強い刺激になります。
とくに怒鳴り声や叫び声は「争いごと」と受け取られ、不安や威圧感を与えてしまう可能性も。
猫の前では、やさしい声でゆっくり話しかけることを心がけたいですね。
4. 生活音の中にある“高周波”
テレビやラジオ、エアコンの稼働音、蛍光灯の電子音…
人間には気づかないレベルの高周波音や微振動が、猫には“耳障りな雑音”として聞こえていることも。
不快そうなそぶりを見せたら、機器の設置場所を見直してあげるとよいかもしれません。
匂いにもご用心!猫が嫌がる“香り”とは?
猫の嗅覚は人間の数十倍〜数百倍といわれるほど敏感。
ほんのり香る程度のにおいでも、猫にとっては「ツンとくる刺激臭」に感じることもあります。
1. アロマ・精油は要注意!
リラックスのためにアロマを焚く人も多いですが、猫にとっては危険な香りになることがあります。
とくに以下のような精油は猫の肝臓で分解できない可能性があるとされ、健康被害が報告されています。
- ティーツリー
- ユーカリ
- ペパーミント
- ラベンダー
- シナモン
- レモングラス など
猫と暮らすお部屋では、アロマディフューザーの使用は控えるのが安全です。
どうしても使いたい場合は、猫が入らない部屋限定にしましょう。

2. 芳香剤・柔軟剤・香水も刺激的に…
市販の芳香剤や消臭スプレー、香水、柔軟剤の香りも、猫には強すぎることがあります。
とくに「柑橘系」「フローラル系」は猫が本能的に避けることが多い香り。
“においが強く残る洗剤”は避け、無香料や自然素材のものを選ぶのがおすすめです。
3. タバコやアルコール、塩素系洗剤のにおい
- タバコの煙は、猫の呼吸器にとって大敵。副流煙でぜんそくや気管支炎になるリスクも。
- アルコール(除菌スプレー・手指消毒液など)は猫がなめると中毒を起こすことも。
- 漂白剤や塩素系洗剤のにおいも、猫にとっては有害な刺激です。
猫がいる空間では、これらの使用はできるだけ控え、換気をしっかり行いましょう。
もし猫がストレスを感じていたら…
猫はストレスを言葉で伝えられない分、行動やしぐさでサインを出しています。
たとえば…
- 急に隠れる、物陰にこもる
- ソワソワと落ち着かない
- トイレ以外で排泄してしまう
- 毛づくろいが増える or 減る
- 攻撃的になる
こんな様子が見られたら、生活環境の中に“音やにおいのストレス”が潜んでいないか見直してみましょう。
猫が安心できる環境をつくるために

最後に、猫にとって快適なおうち環境をつくるコツをまとめます。
- 静かな時間を意識的に増やす
- 音の出る家電は、猫のいない場所で使用する
- 強い香りのアイテムを避ける・無香料を選ぶ
- 隠れられる安心スペースをつくっておく
- 猫の行動の変化にやさしく気づいてあげる
猫はとっても繊細で、でもその分、ちょっとした気づかいでグッとリラックスしてくれる存在。
だからこそ、日々の暮らしの中で「これは平気かな?」と気にかけてあげることが、信頼関係を育む第一歩になります。
おわりに
私たちにとっての「日常」は、猫にとっての「すべての世界」。
その世界が“うるさすぎず、においすぎず、やさしい空気に満ちている”ことが、猫にとってのしあわせなんですね。
「いつもと違うな」と思ったら、音とにおいを見直してみる。
それだけで、猫との暮らしはもっともっと穏やかで、あたたかいものになりますよ。