ベランダに現れた“黒い影”
ある朝のこと。ベランダの手すりに、大きなカラスが羽音を立てて降り立ちました。
風が気持ちよくて窓を網戸にしていたら、その鳴き声にびっくりした猫がダッシュで逃げてきて…しっぽは見事にふくらんで“ボワッ!”。
その姿に思わず笑ってしまいそうになりますが、猫にとっては真剣な反応。しっぽを膨らませるのは「怖いよ、でもがんばるよ!」という本能から出る行動なのです。
猫にとってカラスは“大きすぎる存在”
普段、室内でのんびり過ごしている猫にとって、外の世界は未知のもの。
そこに突然、翼を広げると自分よりずっと大きなカラスが現れたら…「これはただ事じゃない!」と身構えるのも無理はありません。
カラスは黒々とした羽、鋭いくちばし、大きな声。猫からすると、「強そうで、ちょっと怖い相手」に映ります。だからこそ、窓越しでもしっぽを膨らませてしまうのです。

“しっぽボワッ”はどんな意味?
しっぽがブラシみたいにふくらむのは、毛が逆立つ「立毛反応」。体を大きく見せて相手を威嚇するための仕組みです。
怖くて逃げたい気持ちと、「でも自分は弱くないんだ!」という本能が同時に働いた結果、あの独特な姿になるのです。
つまり、しっぽボワッは「恐怖」と「防御」が混ざったサイン。猫にとっては笑いごとではない、必死のアピールなのです。
カラスは本当に危ない?
外で暮らす猫とカラスが鉢合わせすると、実際にトラブルになることもあります。特にカラスの子育てシーズンは攻撃的になるため注意が必要です。
でも、室内飼いの猫が窓から見ているだけなら直接危険はありません。ただ、強いストレスを感じてしまうことはあるので、にらみ合いが長引くときはカーテンを閉めてあげるのもやさしさです。
猫が安心できる工夫
猫が怖がっているとき、飼い主ができることはシンプルです。
- 隠れ場所を用意してあげる
キャットタワーのボックスや毛布の下など、安心できるスペースをつくっておくと心が落ち着きます。 - そっと見守る
抱っこでなだめるより、猫が落ち着くまで静かに距離をとった方が安心しやすい子も多いです。 - 刺激を減らす
窓やカーテンを閉めて“黒い影”を見えなくするのもひとつの方法。
まとめ

猫がカラスを怖がるのは、「外には危険があるかもしれない」という本能が働くから。しっぽがボワッと膨らむのは、その本能のわかりやすいサインです。
一見おかしく見える反応も、猫にとってはとても真剣。そんな姿を知ると、「うちの子ってこんなふうに世界を感じているんだな」と、ますます愛おしく思えてきます。