その1本に、猫の“命綱”が隠されていた!
猫の顔をじっくり見たことがありますか?
目、耳、鼻…そして何よりも目を引くのが、ピンと左右に広がったヒゲ。
ふさふさした頬からまっすぐに伸びたそのヒゲは、じつはただの飾りではありません。
「なんとなく生えてるけど、別に切ってもいいんじゃない?」
そんなふうに思っていたら要注意。
猫のヒゲには、“生きるための重要なセンサー”としての役割があるのです。
今回は、絶対に切ってはいけない理由と、猫のヒゲが果たしている5つの驚くべき役割について、詳しく解説していきます。
1. 猫のヒゲ=高性能な“空間センサー”

まず、猫のヒゲは「毛」とはいえ、普通の体毛とはまったくの別物。
「触毛(しょくもう)」と呼ばれ、根元には大量の神経が集中している非常に敏感な器官です。
特に驚くべきは、そのヒゲの幅。
猫の体幅とほぼ同じ長さになっており、狭い場所に入れるかどうかを判断するのに使われています。
つまり、ヒゲは「通れる?通れない?」を瞬時に判断するためのセンサーなんですね。
■ヒゲを失うと、ぶつかったり、狭い場所に入れなくなったりすることも…
ヒゲがないと、猫は距離感がつかめず、高い場所に飛び乗ることすら怖がるようになることがあります。
それくらい、猫にとってヒゲは空間把握に欠かせない大切なアンテナなのです。
2. 暗闇の中でも安全に動ける“夜間ナビゲーター”

猫は夜行性と言われますが、実は真っ暗闇では人間と同じように視界が制限されます。
そんなときに活躍するのが、またしてもヒゲ!
ヒゲは、空気の流れや近くの物体の動きを感知する“立体レーダー”のような役割を果たします。
たとえば:
- 家具にぶつからずにスムーズに歩ける
- 他の動物の接近にいち早く気づく
- 床に落ちた小さなものの存在を察知できる
など、視覚に頼れない暗所でもヒゲが猫を守っているのです。
3. 感情がわかる“ヒゲの表情”
猫は感情をあまり顔に出さない…そんなふうに思っていませんか?
実は、ヒゲの動きに注目すると、猫の気分が見えてくることがあります。
ヒゲで読み解く、猫のきもち:
ヒゲの状態 | 気分・状態 |
---|---|
前方にピンと張る | 興味津々・興奮状態 |
横に広がる | リラックス・通常時 |
後ろに引く | 怒っている・怖がっている |
ヒゲは筋肉によって動かされていて、猫の心の動きに合わせて無意識に変化するのです。
猫の気持ちを知りたいときは、ぜひヒゲに注目してみてください。
4. 獲物を正確にとらえる“狩りの照準器”

猫はもともとハンター。
その本能を支えているのも、実はヒゲです。
獲物をくわえたあと、ヒゲは口の周りで動いて“とらえたものの状態”を感じ取るセンサーとなります。
獲物がまだ動いているか、どこに当てれば仕留められるかなどを判断するために、ヒゲが重要な役割を果たしています。
室内飼いの猫でも、おもちゃで遊んでいるときなどにこの本能が垣間見えることがあります。
5. バランスを保つための“ジャイロ機能”
猫は高いところが得意ですが、それを支えているのもヒゲの力。
ヒゲが周囲の空気や位置を繊細に感知し、身体のバランスを取るための調整役をしています。
たとえば:
- 細いところを歩くとき
- 着地の角度を調整するとき
- 空中で姿勢を立て直すとき
ヒゲがあることで、猫は驚異的なバランス感覚を実現しているのです。
ヒゲを失った猫は、足元が不安定になったような感覚になることもあるほど。
じゃあ、猫のヒゲって抜けても大丈夫なの?

結論から言うと、自然に抜け落ちるヒゲは問題ありません。
猫も人間と同じく、毛が生え変わるサイクルがあるため、ポロッとヒゲが落ちていることがあります。
ただし、以下の場合は注意が必要です。
- ヒゲが大量に抜けている
- ヒゲが途中で折れている
- 毛根から抜けて血が出ている
これらは栄養不足・ストレス・皮膚病などの兆候である可能性があります。
気になるときは、早めに獣医さんに相談しましょう。
まとめ:ヒゲは切らないで!猫の命綱を守ろう
猫のヒゲには、想像以上に大切な役割がたくさんあります。
- 空間を把握するセンサー
- 暗闇でのレーダー
- 気持ちを伝えるツール
- 狩りのときの照準器
- バランスを保つ装置
これらすべてを兼ね備えたヒゲを、不用意に切ることは絶対にNG。
おしゃれやケアのつもりで切ってしまうと、猫の自信や行動力が著しく損なわれてしまう可能性もあるのです。
ヒゲは猫の一部。むやみに手を加えず、ありのままを大切にしてあげましょう。