ふと写真で見かけた瞬間、「えっ…丸っ!」と思ってしまう猫がいます。
しっぽがなくて、体はころん。全体的にふわん。
それがキムリック。
ぬいぐるみのようなフォルムですが、実はこの丸さ、ただの見た目の話ではありません。きちんと理由があり、遺伝や身体構造、そして歴史が関係しています。
今回は、キムリックがなぜこんなにも丸く見えるのか、その背景をやさしく紐解いていきましょう。
キムリックってどんな猫?

まず基本から。
キムリックは「長毛のマンクス」です。
もともとマン島で自然発生したマンクスという猫種が存在し、その長毛タイプとして確立されたのがキムリック。つまり別種というより、同じルーツを持つバリエーションと考えると理解しやすいですね。
特徴は非常にわかりやすく、
- しっぽがない(または極端に短い)
- ずんぐりとした丸い体型
- 厚みのある被毛
- 後ろ足がやや長い
この組み合わせが、独特の「丸猫感」を生み出しています。
丸さの最大の理由は「骨格」
キムリックの丸さの核心は、実は毛ではありません。
骨格です。
キムリックは「コビータイプ」と呼ばれる体型をしています。
コビータイプの特徴は、
- 胴が短め
- 胸板が厚い
- 骨太
- 全体にコンパクト
この体型は、スラッとしたシャム系の猫とは真逆。横方向に詰まった印象になるため、自然と丸く見えます。
さらにキムリックの場合、しっぽがないことで「縦のライン」が減少します。
しっぽは意外と視覚的な役割が大きく、あるだけでシルエットに伸び感が生まれます。これがないことで、フォルムがより球体寄りに見えるのです。
被毛が丸さをブーストする
もちろん毛の影響も無視できません。
キムリックはダブルコート。
- 下毛が密集
- 上毛がふんわり
この構造によって、実際の体よりもボリューム感が強調されます。
特に首回りや腰回りは毛が厚くなりやすく、
「顔 → 胴体」
の境界線があいまいになります。
結果として、すべてが一体化した丸い塊のような印象になるわけです。
後ろ足が長いのに丸く見える不思議

キムリックには少し面白い特徴があります。
後ろ足が前足より長め。
このため歩き方がやや独特で、よく「ウサギのよう」と表現されます。
通常なら脚の長さはシャープな印象を作りますが、キムリックでは逆。
理由はシンプルで、
胴が短いから。
脚がやや長くても、胴が詰まっているため全体のバランスはコンパクトに収まります。
むしろこの構造が、
- お尻の丸み
- 背中のアーチ
- ころんとした後姿
を強調します。
しっぽなし遺伝子と身体の進化
キムリック最大の特徴である「しっぽなし」は、遺伝的要素です。
マンクス遺伝子(Manx gene)が関与しており、この影響で尾椎が形成されない、あるいは短縮されます。
ただしここは重要なポイント。
この遺伝子は可愛さだけの話ではありません。
- 脊椎の異常リスク
- 神経系への影響
- 個体差の大きさ
など、身体構造にも影響を及ぼします。
つまりキムリックのフォルムは、遺伝的特徴と身体バランスが長い時間をかけて落ち着いた結果とも言えます。
「丸い=太っている」ではない
ここ、かなり大切な話です。
キムリックは非常に丸く見えますが、
丸い見た目と肥満は別物です。
健康なキムリックの特徴は、
- 触ると筋肉質
- 意外と重みがある
- ずっしり感がある
見た目はコロコロでも、中身はがっしり。
むしろこの猫種は筋肉量が多く、見た目以上にアクティブな傾向があります。
丸いからといってダイエット対象と誤解しないことが重要です。
丸さが生む独特の魅力

ではなぜ、このフォルムがこんなにも人を惹きつけるのか。
心理的な側面も関係しています。
人間は本能的に、
- 丸いもの
- 曲線
- コンパクトな形
に安心感を抱きやすいと言われています。
キムリックはまさにこの集合体。
- 攻撃性を感じにくい
- 優しい印象
- 守りたくなる存在感
これが「癒し力の高さ」につながります。
実はかなりレアな存在
最後に少し現実的な話を。
キムリックは非常に珍しい猫種です。
理由は複数あります。
- しっぽなし遺伝子の管理が難しい
- 健康面の配慮が必要
- 繁殖数が限られる
結果として、市場で見かける機会はかなり少なめ。
もしどこかで出会えたなら、それはちょっとしたレア体験かもしれません。
丸さは偶然ではない
キムリックの丸さ。
それは、
- 骨格
- 被毛
- 遺伝
- 歴史
すべてが組み合わさった結果です。
ただ可愛いだけではなく、きちんと理由のあるフォルム。
そう思って見ると、この「ころん感」、少し違った味わいで見えてきませんか?
丸いには、理由がある。
キムリックは、そんな進化の物語をまとった猫なのです 🐾

