夏の終わり、秋のはじまり。
季節の境目にあたるこの時期、空模様もどこか落ち着きがなく、急な雷雨に見舞われることがあります。
つい先日も、もふねこ編集部の家の窓を激しく打つような雨と雷の音が響き渡りました。もふねこ編集部には4匹の猫がいるのですが、そのうちの1匹が、雷が鳴った瞬間、まるで“姿を消す”かのようにクローゼットの奥へ…。
いつものごはんの時間になっても、出てこようとしませんでした。
小さくまるまって、じっと息をひそめるようにしているその姿を見て、ふと立ち止まりました。
「どうしてこんなに怖がるんだろう?」
「何かできることってあるのかな?」
そんな風に感じたことがある方も、きっと少なくないはずです。
今回は、雷を怖がる猫の“心の中”を少しのぞいてみながら、飼い主にできるやさしいサポートについてご紹介したいと思います。
雷が怖い猫、怖くない猫——その違いはどこから?

猫はとても敏感な動物です。聴覚は人間の数倍、さらに低周波の振動も感じ取ることができます。雷の「ドーン!」という音や、「ビリビリ」とした空気の変化は、私たちが思っている以上に、猫の神経を刺激しているのです。
でも不思議なことに、同じ環境で暮らしていても、まったく動じない猫もいれば、雷のたびに隠れてしまう猫もいますよね。
この違いにはいくつかの要因が考えられます。
- 性格や気質の違い(臆病・慎重・神経質など)
- 子猫時代の経験(大きな音に慣れているかどうか)
- 聴覚や感覚の個体差
- 過去に雷に関連した怖い経験がある(たとえば、雷の音と同時に家具が倒れたなど)
実際、もふねこ編集部の猫たちも3匹はケロッと寝続けていたのに、1匹だけがクローゼットに“避難”していました。同じ空間でも、感じ方はそれぞれ違うのです。
猫は「音」だけじゃなく「気配」も感じている
雷の前後には、気圧の変化、空気中の静電気、においの変化など、人間には感知しにくい微細な変化が起きています。
猫たちはそれを敏感に察知して、すでに“異変”を感じ取っていることがあります。
雷が鳴る前にソワソワしはじめたり、いつもと違う場所に移動したり、耳をピクピクさせていたら、それは「怖いことが起きそう」という予感の表れかもしれません。
そうしたサインに早めに気づくことが、猫の安心につながります。
クローゼットや押し入れにこもる猫は“避難”しているだけ

雷の音におびえて、クローゼットや押し入れ、ソファの下などの「暗くて狭い場所」に避難する猫は多いです。
これは決して悪いことではなく、本能的に安心できる場所を探しているだけなんです。
暗くて音がこもりにくい、外の気配が届きにくい…そんな場所が彼らにとっての「安全地帯」。
なので、もし愛猫がクローゼットの奥に隠れてしまっても、無理に引っ張り出そうとせず、そっと見守ってあげるのが一番です。
飼い主にできる“静かな応援”
とはいえ、雷の中、クローゼットにこもって出てこない様子を見ると、心配になりますよね。
そんな時に飼い主ができる“小さな工夫”をご紹介します。
1. 安心できる“隠れ場所”を日ごろから用意しておく
もしクローゼットの中が入りづらい、危ないものがある場合は、猫が安心して入れる「避難小屋」的なスペースを用意してあげましょう。
段ボールに毛布を敷いたものや、キャリーバッグにお気に入りのタオルを入れたものでもOKです。
「ここなら安心できる」という場所があるだけで、猫のストレスはかなり軽減されます。

2. 雷音をやわらげる工夫をしてあげる
厚手のカーテンを閉める、テレビや音楽を少しだけ流すなどして、雷の音を少しでもマイルドにしてあげるのも効果的です。
ただし、音量を上げすぎると逆効果になることもあるので、落ち着いた環境を意識することが大切です。
3. 無理に声をかけすぎない
つい「大丈夫?」「出ておいで〜」と声をかけたくなりますが、猫にとっては“気にされること自体がプレッシャー”になることもあります。
何度も声をかけたり、のぞきこんだりするよりも、いつも通りに過ごしつつ、そっと近くにいてあげる。
それが、猫にとっての一番の安心になることもあるんです。
ごはんも食べない…そんな時は?
雷のストレスでごはんを一時的に食べられなくなる猫もいます。
そんなときは無理に食べさせようとせず、雷が止んでから、少し落ち着いたタイミングで再び出してみるのがポイント。
場合によっては、匂いの強いウェットフードや、お気に入りのおやつで誘うのも良いでしょう。
そして、落ち着いてからごはんを食べた時には、「よかったね」とやさしく褒めてあげることで、少しずつ「怖い体験」が「安心した記憶」に上書きされていきます。
まとめ:雷が怖い猫に、してあげられること

- 怖がり方は猫によって違う
- 怖がるのは「異常」ではなく「本能」
- 無理に出そうとせず、“安心できる環境”を整える
- 飼い主は“静かな応援団”であることが大切
- 食欲不振があっても、あわてず様子を見る
雷はほんの一瞬の出来事かもしれません。
けれど、その時にどんなふうに寄り添ってもらえたかは、猫にとって忘れられない記憶になることもあるでしょう。
昨日のような雷の日にも、
「ここなら大丈夫」
「飼い主さんがそばにいてくれる」
そう思える時間を、一緒に過ごせたら——それだけで、きっと次の雷は少しだけ怖くなくなるはずです。
どうか、あなたの猫にとって、“雷の記憶”が少しでもやさしいものになりますように。