猫が何かを狙っているとき、ふと見せる“あの仕草”。
背を低くし、目をキラキラさせながら、おしりをフリフリ…!
その姿に、思わず「かわいい〜!」と声を漏らしたことがある飼い主さんも多いはず。
でも、猫はなぜ、わざわざおしりを振るのでしょうか?
今回は、猫の“おしりフリフリ”に隠された本能や心理について、深掘りしていきます。
かわいいだけじゃない、野生の名残や行動学的な理由がたっぷり詰まっているんですよ。
おしりフリフリは“狩りモード”の合図

まず最初に押さえておきたいのは、この仕草は「かわいいお遊び」ではなく、れっきとした狩猟行動の一環だということです。
野生の猫科動物たちは、獲物を捕らえるために全身の筋肉を使って静かに忍び寄り、そして一気に飛びかかります。
その瞬発力と精度を高めるための「構え」が、おしりのフリフリなんです。
フリフリ=発射準備
まるでロケットが発射直前に振動するように、
猫も飛びかかる前に全身のバランスを調整しています。
- 前脚の位置を定める
- 後脚に力を溜める
- 視界と距離感を計る
この準備運動の中で、後ろ足の位置を少しずつ調整するために、おしりが自然と左右に揺れるのです。
実は“床とのグリップ調整”もしている!?
おしりをフリフリしながら後ろ足を少しずつ動かしているのは、単なる可愛らしさではありません。
実はこの動き、滑らずに踏み込めるように床との接地感を調整しているとも言われています。
とくに室内では、フローリングやカーペットなど、滑りやすさに差があるため、
「自分の蹴り出しがうまくいくか?」を無意識にチェックしている可能性も。
これが猫にとっては、“狩りの精度を高める最終チェック”なんですね。
遊びのときも本能はオンになる

「うちの子、猫じゃらしで遊ぶときに毎回やるよ〜」という声もよく聞きます。
そう、たとえ相手がおもちゃでも、猫は常に“ハンターの心”を忘れていません。
遊びの中でも、しっかりと“獲物を仕留める練習”をしているのです。
猫にとっての遊びは、獲物を見つけて、追いかけて、仕留めるまでの一連の流れがとても大切。
そのプロセスの中で、おしりフリフリは狩りの重要なステップの一つなんです。
なぜおしりを“左右”に振るのか?
気になるのは、「なぜおしりを“上下”ではなく、“左右”に振るの?」という疑問。
これにはいくつかの説があります。
- 後ろ足の踏み込み位置を左右で微調整している
- 胴体をひねって柔軟性を確かめている
- 重心のズレを修正し、飛び出す角度を決めている
つまり、左右の振りは細かな動きの調整にとても役立っているのです。
猫の身体は驚くほど繊細にできており、少しのズレも飛びつきの精度に大きく影響するのです。
獲物を“完璧に仕留めたい”という意思の表れ
この一連の仕草は、猫にとって「成功率を上げたい!」という本能的な欲求の現れでもあります。
成功体験=楽しい、うれしい
失敗体験=ストレス、警戒心の増加
猫は本能的に「失敗は避けたい」と考えているため、
本気で飛びかかる前には、入念な準備を欠かさないのです。
その真剣な“狩りの所作”が、おしりフリフリというかわいらしい仕草に見えるわけですね。
猫の性格によって“フリフリ具合”も違う?
実はこのフリフリ、猫の性格や習慣によって差があるとも言われています。
- 狩りが上手な子ほど、しっかりフリフリしてから飛びかかる
- 慎重派な子は、時間をかけて何度も位置を調整する
- おっとりタイプは、あまりフリフリせずに突進することも
観察してみると、その子の“狩猟スタイル”が見えてくるかもしれません。
遊び方やジャンプのクセと合わせて見ると、性格診断にも役立ちますよ。
かわいくても、からかいすぎには注意!

フリフリがかわいいからといって、何度もじゃらしで釣るだけ釣って、最後に捕まえさせない…という遊びを繰り返していませんか?
これは猫にとって強いストレスになってしまうこともあります。
- 狩りの完了(=成功体験)を味わわせる
- 遊びの終わりには、必ず“獲物”を捕まえさせる
- 十分な運動と満足感を与えることが、猫の精神的安定に◎
おしりフリフリは“全集中”の状態なので、そこに応えてあげることが信頼関係にもつながります。
まとめ:おしりフリフリは、猫の知性と野性の融合
猫が何気なく見せる“おしりフリフリ”には、
筋肉の使い方、距離の計測、床の感覚、獲物との間合いなど、たくさんの要素が詰まっています。
まさに、猫という動物の「賢さ」や「本能の美しさ」が凝縮された行動なんです。
次にその仕草を見かけたときは、
「かわいい」だけじゃなく「すごいなぁ…」という敬意の気持ちも、そっと添えて見守ってみてくださいね。
そして、一生懸命狙っている猫に、しっかりと獲物(おもちゃ)を与えてあげることも忘れずに。
その一連のやりとりが、猫との信頼と絆を深めていく大切な時間になるのです。